劇場演出空間技術協会によるJATET規格一覧

劇場演出空間技術協会(JATET)は、劇場演出空間施設及びこれに関連する設備・機器の安全確保と総合的な技術向上とその普及を図るために、劇場演出空間に関連する法人や専門家を会員として創立された組織です。
演出空間施設に関する調査・研究、標準の検討・作成、展示の開催、内外関連との交流等を主な活動としています。

JATETでは、照明や音響だけでなく建築、機構、映像などに関する規格を定めています。
一部のJATET規格に対しては、劇場演出空間技術協会サイトでも確認することが可能ですので、分野別にわかりやすくまとめてみました。
規格の中にはメーカー向けのものもありますが、器具を扱う側としても一通り目を通しておくことをおすすめします。

なお、概要に関してはすべて公益社団法人 劇場演出空間技術協会|出版物 1.JATET規格等より引用させていただきました。

機構

舞台機構制御盤・操作盤の周囲環境に対する指針
日本劇場技術協会発行の「コンピュータコントロールによる舞台機構機器制御部の周辺環境に対する指針(JITT技術資料M1002)」を基に作成。 機構機器の機能拡大や、高度な演出に対応するための制御回路PC化による、舞台機構の制御盤・操作盤周辺の、適切な環境づくりが求められている。

この指針では、安全性の確保、事故防止のための項目を「温度・湿度」、「ノイズ」、「振動」、「塵埃・腐食性ガス」、「制御盤室の配置例なども記載。」、「供給電源」、「電源容量」、「接地」に類型し掲載。
改訂版においては制御機器を保護するため、専用の制御盤室を設けるように推奨している。

JATET資料 舞台機構設備の運用操作の注意事項
平成7年7月1日に施行された製造物責任法(PL法)に基づき、製造責任が明確になり、且つ使用者の使い勝手を阻止しない取扱説明書の充実を図るも、使用者側からは業界として統一のものを求められてきた。

そのような中、JATET-M-6030-1「吊物機構安全指針・同解説」で示した考え方を運用面でより確実にしてもらい、業界として平準化するために、作成した「舞台機構設備の取扱説明書の内、PLに関連する事項(JATET資料)」を、表題を含め改訂した。

一般注意事項、吊物機構、手動カウンターウエイト式バトン、ライトブリッジ及びライトブリッジ乗込み橋、床機構、オーケストラ迫及び客席ワゴン、大迫り・小迫・すっぽん、ステージワゴン・スライディングステージ・沈下床、回り舞台、移動小迫り、迫りまたはスライディングステージの落下防止装置等について記載。

照明

照明演出用調光装置の共通データ規格
COMOS規格が調光レベルデータのみであったのに対し、このJASCIIは一般的なテキストファイル形式であり、市販のパーソナルコンピュータで取り扱うことができる。

JASCIIでは、フェード、ディレイ、ウェイトの時間データと、パート関係のデータを規格範囲に加えた。また調光データと時間データ、時間軸に対応するパートデータの正確な互換性を優先している。記憶媒体は、ハードウェアの進歩を考慮し規定なしとした。

演出空間用照明器具の吊り下げハンガー(手締め式)規格
国内で使用されているハンガーは、形状・許容吊り下げ質量・使用方法等はほぼ統一されている。しかし、製造業者の意図しない使用方法が存在したり、持ち込み機材、外国製品など、照明器具とハンガーとの不適切な組み合わせにより、安全性の担保が課題となっていた。

そのような背景の下、照明器具等を取り付けるハンガーのうち、屋内用で器具つり用パイプに引掛けて吊下げる方式で、パイプ引掛け部と一体となるダボ受けを有し、固定ボルトの締付が手締め式のハンガーについて規定している。 JATET-L-5070-2,JATET-L-5080-2、JATET-L-9130、JIS C 8105-2-17を引用しながら、規格を構成している。
おもな規格構成は、「性能」、「構造、寸法及び材料」、「表示」、「試験方法」、「固定ボルト締付け強度試験」、「自然落下強度試験」など。

また、「演出空間用照明器具のハンガー(手締め式)の規格 解説」には、「性能及び試験方法」、「許容吊り下げ質量の用語について」、「安全を確保するための使用上の注意」などが掲載されており、たとえば「安全を確保するための使用上の注意」には、曲つり使用における実験結果(真横向きと真上向きでそれぞれ)、交換時期の目安などが示されている。

演出空間用照明器具の平置きスタンド規格
スタンドは安全性能について規格されておらず、経験によってスタンドの選定や取扱方を習得していた。このような背景から演出空間用照明器具取付機材の屋内用スタンドについて規定。適正にかつ確実に使用でき、需要家の利便性向上を目指したもの。

演出空間において平らな床面に置き形で使用するものとし、特定の照明器具専用に制作された専用スタンドも適用範囲に含める。
ただし、傾斜床用など特殊用途のスタンドは除くものとしている。 JATET-L-5070-2,JATET-L-5080-2、JATET-L-9130、JIS C 8105-2-17を引用しながら、規格を構成している。

おもな規格構成は、「性能」、「構造、寸法及び材料」、「表示」、「試験方法」、「対荷重性能試験」など。 また、「演出空間用照明器具の平置きスタンド規格 解説」には、「性能及び試験方法」、「許容積載質量の用語について」、「安全を確保するための使用上の注意」が記載されている。例えば「性能及び試験方法」のうち「耐転倒性能について」では、スタンドの設置床面の傾斜によって規定することとなった背景や、「安全を確保するための使用上の注意」ではスタンドの破損やその他の支障について、ハンドルの操作などに言及している。

演出空間照明用調光器調光特性規格
本規格は、舞台・スタジオ等の演出空間で使用する演出空間照明用調光器の調光特性を統一することによって、調光レベルデータの共通性を確保することを目的としている。
舞台・スタジオ等の演出空間照明で使用する白熱灯用調光器についての適用範囲。その他用語の定義、調光特性の種類や試験方法、などが規定されている。

演出空間用差込接続器C型20A
演出空間照明設備の分岐回路に使用するコンセント、コネクタとこれに接続するプラグが適正にかつ確実に使用でき、需要家の便に供することを目的とする。

演出空間照明設備において周波数50Hz,60Hzの交流125V以下の電路で、配線とコードとの接続又はコード相互の接続に使う差込接続器についてを規定範囲としている。
その他、用語の意味、種類・極数及び定格、性能、構造・寸法及び材料、表示、試験方法、 規格解説(規格制定の経緯等)という構成で成り立っている。

演出空間用差込接続器C型30A
演出空間照明設備の分岐回路に使用するコンセント、コネクタとこれに接続するプラグが適正にかつ確実に使用でき、需要家の便に供することを目的とする。

演出空間照明設備において周波数50Hz,60Hzの交流125V以下の電路で、配線とコードとの接続又はコード相互の接続に使う差込接続器についてを規定範囲としている。

その他、用語の意味、種類・極数及び定格、性能、構造・寸法及び材料、表示、試験方法、 規格解説(規格制定の経緯等)という構成で成り立っている。

演出空間用差込接続器C型60A
演出空間照明設備の分岐回路に使用するコンセント、コネクタとこれに接続するプラグが適正にかつ確実に使用でき、需要家の便に供することを目的とする。

演出空間照明設備において周波数50Hz,60Hzの交流125V以下の電路で、配線とコードとの接続又はコード相互の接続に使う差込接続器についてを規定範囲としている。

その他、用語の意味、種類・極数及び定格、性能、構造・寸法及び材料、表示、試験方法、 規格解説(規格制定の経緯等)という構成で成り立っている。

演出空間照明器具等の銘板類の表示規格
取扱者が明確に認識するために照明器具等の銘板類の表示方法の統一を図り、的確な判断情報を提供することを目的とした規格。
電気用品取締法・電気用品取締法施工規則に規定する表示事項を必須表示原則とするなどの、表示の原則事項を挙げているほか、必要な表示項目、表示方法、表示レイアウト例などを、灯体の特徴や機器毎に示している。

改訂の要点としては、「電気用品の技術基準を定める省令2項(IEC-J)」が平成10年7月1日より適用されたことなどにより、法規に適合した基本となる「銘板の表示規格」を改正。
また、「演出空間用照明器具取付機材に係わる安全性に関する調査研究委員会」からの提案を受け、用語の整合等を図った。

演出空間用照明器具及び照明機材等の安全表示ガイドライン
従来から演出用照明器具及び照明機材等の表現方法、取扱説明書などに安全な取扱いを表示しているが、危険の度合いや指示事項の表現方法、内容が製品ごとに異なるなど、必ずしも使用者に明確なものになっていない。

このガイドラインは演出用照明器具及び照明機材等の安全な仕様を確保し、「人身への危害と財産への損害を防ぐための傾向表示」と、長期使用に際して、安全性を維持する「安全点検のための表示」として基本的な事項と考え方を示すことを目的としている。
また、「安全確保のための表示事項チェックリスト」を作成。それぞれ機材の特性毎に類型化された上で、「製品使用段階の分類」、「表示事項」、「区分」、「表示媒体」を表形式にして表示。チェックリストとしている。

改訂の要点としては、「電気用品の技術基準を定める省令2項(IEC-J)」が平成10年7月1日より適用されたことなどにより、法規に適合した基本となる「安全確保のための表示ガイドライン」を改正。
また、「演出空間用照明器具取付機材に係わる安全性に関する調査研究委員会」からの提案を受け、用語の整合等を図った。

演出空間専用差込接続器D型20A
演出空間照明設備の分岐回路に使用するコンセント、コネクタとこれに接続するプラグが適正に安全かつ確実に使用でき需要家の便に供することを目的とする。演出空間照明設備において周波数50Hz,60Hzの交流125Vを超え250V以下の電路で、配線とコードとの接続又はコード相互の接続に使う差込接続器についてを規定範囲としている。

改訂事項は、表示について「特定電気用品の表示」と「認定検査機関名」の追加、規格制定の経緯において、「電気用品安全法の施行」についての文言の追加。

演出空間照明用サイリスタ調光器のノンディム機能規格
本規格は、サイリスタ調光器の主電力制御素子であるサイリスタを全導通させ、調光器の入力電圧にほぼ等しい出力をするノンディム機能を定義し、その機能に適合する調光器の性能、特性を規定することにより、演出空間用照明器具及び照明機器の電源として使用可能とすることを目的とする。

演出空間用調光装置の表示規格(銘板類)
調光装置はJIS規格等の分類に適合する項目がなく、独立した機能区分としている。銘板類の記載内容及びその表示方法の統一を計り、的確な情報が提供できることを目的としている。

本規格は調光装置の据置形、移動形の銘板類について適用する。構成としては、「表示の原則事項」、「表示内容」、「表示方法」。「銘板表示例」、「関連規格と本規格の関係」。

演出空間用調光装置の表示規格安全確保のための表示ガイドライン
演出空間用調光装置の安全な仕様を確保し、「人身への危害と財産への損害を防ぐための警告表示」と、長期使用に際して、安全性を維持する「安全点検のための表示」に関して基本的な事項と考え方を示す目的のもの。 据置形調光装置と移動形調光装置における「安全確保のための表示事項チェックリスト」も掲載。

初版(H9)では分かりやすい表示のあり方を検討し、基本となる「安全確保のための表示ガイドライン」を作成したが、平成11年に「劇場等演出空間電気設備指針」が制定されたことにより改定した。

漏電感知器付き調光器規格
舞台・テレビスタジオ等演出空間の調光回路において、漏電が発生した時速やかに感知し、出力を抑圧する機能を持った漏電感知機能付き調光器を提案し、その機能に適合する性能・特性を規定し、調光装置と照明灯回路の安全確保を目的とする。

舞台・テレビスタジオ等の演出空間で対地電圧が150V以下の電源に使用する漏電感知と抑圧機能を有する定格電圧150V以下の調光器及び単相3線式電源に使用する定格電圧250V以下の調光器を適用範囲としている。

劇場等演出空間用照明設備の劣化診断・適正更新時期判定/プログラム…JATET-L-7190対応版
JATET-L-7190『劇場等演出空間用照明設備更新のためのガイドライン』に示された更新対象設備の「個別劣化診断」「総合劣化診断」「適正更新時期判定」をパーソナルコンピュータ(PC)の画面上で行うものです。 「診断・判定プログラム」は、Java言語で記述しています。プログラム本体 および JavaVMはJATETホームページからダウンロードできます。

本プログラムは、JavaVMを搭載しているMicrosoft Windows PC 及び Macintosh PC に対応しています。 「劇場等演出空間用照明設備の劣化診断・適正更新時期判定プログラム」は、CD-ROMもあります。

演出空間用調光装置の安全基準
舞台関係の電気設備は一般電気に比べ運用・機能・性格が極めて特殊な取扱いになるため、電気主任技術者が実施する電気設備保守・点検とは別個に舞台専門技術者に委任することが多い。

施工面における安全確保は「電気設備技術基準・解釈」、「内線規程」等で規定されているが、調光装置そのものには明解な規定や記述がなく、各製造者によってJIS,建設省電気設備工事共通仕様書、JEM等の近似規格を参考に設計・製造されている。
そこで、安全確保の観点から、統一化し、調光装置の設計製造に寄与する目的で基準化された。

演出空間用照明器具類のダボ及びダボ受けの寸法規格
演出空間用照明器具類は、一般にダボとダボ受けを介してハンガーやスタンド等 おを演出空間用取付機材に取り付け、演出目的に応じた所望の空間位置に設置している。

この規格では、日本で標準的に用いられているダボとダボ受けの基本寸法を規定し、かん合についての互換性と安全性を確保し使用者の利便性を向上させることを目的とする。

演出空間用照明器具のフィルタホルダおよびフィルタフォルダ枠の寸法規格
演出空間用照明器具は、一般に投光開口部にフィルタホルダ枠を備え、カラーフィルタを保持するフィルタホルダを装着できる構造になっている。

この規格は、日本で複数の生産者により生産される同等機種のスポットライト等で共通して使用されるフィルタホルダとフィルタホルダ枠の基本寸法を規定し、装着の互換性と安全性を確保し使用者の利便性を向上させることを目的とする。

映像

自発光方式大型映像装置 用語解説集
近年の大型映像装置の発達により、参入メーカーが大幅に増え、経済性だけでなく性能面においても内容が変化しており多くの機種を比較しての購入選択が可能となっている。

しかし、自発光式大型映像装置と投写型、直視型テレビとの共通点はあるものの多数の発行素子を並べて取り付ける構造のため、独自の構造や使用も存在している。
そのような中で大型映像装置を新設、更新する場合の一助となるために、大型映像装置における直視型・自発光型大型映像装置の主な仕様項目について用語の解説をしている。

付図として、おもな大型映像装置の分類図や、色再現範囲比較図が掲載されている。

大型映像装置の安全運用について
劇場および演出空間等で、仮設により大型映像装置を使用して効果的な演出(ハード、ソフト、運用の組合せ)を行う際には、現在、大型自発光映像装置を用いる方法、投映型プロジェクター装置を用いる方法、およびレーザー装置を用いる方法の方法に大別される。これらの各映像装置は使い方次第で、重大な事故を引き起こす可能性がある。

そこでこれらの演出は「確かな技術と経験を積んだ者」の管理下で行われるべきであり、「大型映像装置の安全運用について」は、この様な映像装置を安全に使用するための基準である。

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