あなたはパワハラ・セクハラについてどう感じますか?
このブログを読んでいる方なら、絶対にやってはいけないこと、あってはならないことだと感じていることでしょう。
このところ、小劇場界隈でパワハラについて話題が持ち上がっていました。くらげがそのことについて知ったのはTwitterで断片的に情報が流れてきたからです。
調べてみると見過ごすわけにはいかない問題だと感じたので、一番状況がわかりやすいツイートを見つけてリツイートしてみました。
最近、断片的にパワハラの話が流れてきて気になっていたのだけど、こういうことだったのか。 https://t.co/mMKWGpnztb
— そらいろくらげ (@kurage_suzuki) January 23, 2020
ところが、もっとリツイートされるかと思っていたのにあまりにも反応が薄くて拍子抜けしました。
もしかしたら、ハラスメントというものをどこか遠くで見ているようなイメージなのかもしれません。自分の周りでは起きていないからわからないと。
でも、決して自分の周りで起きていないわけではありません。すぐそこにハラスメントはあります。
わたし自身、こう見えてこれでも多くのパワハラ・セクハラを受けて傷付くことを経験してきました。
決して遠くで起きている問題ではないことを知ってほしいためにも、くらげ自身の体験を書こうと思います。
くらげが受けたモラハラ
不機嫌チーフ
まだ入社して2年経たないころ、くらげは小さな公共ホールから大きな民間劇場に異動しました。
そこの劇場は、多くの有名な演劇作品を排出していて、設備も何もかもが今までのホールとは別格。小屋付きの仕事を始めてまだ2年目のくらげはDMXすらわからない状態でただ右往左往するしかありませんでした。
照明チーフはくらげより一回り上、先輩は年下の男性です。音響、舞台スタッフは別会社です。頼れるのはチーフと年下の先輩ですが、くらげはただ言われたとおりに動くしかありませんでした。
ていねいに教えてくれるのは他会社の音響さんと舞台さんばかりで、チーフからはただ「おせーよ」、「何やっているんだよ」と言われるばかり。わからないことを「わかりません」ということすら言えず、口を聞いてはいけないような雰囲気を醸し出しているので聞くことすらできず、何がいけないのかもわからない。
仕事ができるようになればきっと口を利いてくれるはず。そう信じてただ必死に業務をこなしていました。
異動から3ヶ月が経っても、チーフからは「おせーよ」「何やってんだよ」しか言われない状態が続き、狭い控室で一緒にいると激しい動悸に見舞われるようになりました。
その頃、自分がおかしいんじゃないかと思ってネットで調べたら注意欠陥・多動性障害(ADHD)に当てはまることが多かったので精神科を受診したところ、うつ病も発症していることが判明。
ついに限界を感じたので頼れそうな先輩に退職願を出したところ、別のホールに異動することになりました。
ただ、そのことについて数年経ってから社長に「お前は劇場から逃げたからな」というような嫌味を言われたことは決して今も忘れません。
そのチーフとは何度か顔を合わせることがありましたが、やはり現場が一緒になると動悸がします。
別の人には指示をするけどくらげには指示をしない、何か言われて答えると、「お前なあ!まあいいや」と言われたこともあります。怖くて聞けませんでした。何が言いたかったのか。
その一方で、くらげの後輩たちとは楽しそうに会話をしているのを見て、うらやましく感じていました。でもその輪には決して入れないのです。怖いし、機嫌を損ねるのがわかるから。
2年前ほどにくらげが管理をしているホールに外部照明として来館したことがあるのですが、その人の顔を見た瞬間に足がすくみました。退社して数年経つのに未だに怖いのです。
別会社のパワハラ常習者
劇場から公共ホールへ異動した数年後、今度は多目的ホールに異動することになりました。
そこのホールでは2社で委託を受けており、舞台の管理業務をくらげがいた会社が行い、事務や運営を別会社が行っていました。
その別会社の担当者は、パワハラ常習者でした。彼から受けたパワハラは以下の通り。
- 空き日に事務所番をした日は電話の内容や来館者など詳細に報告書を書かされる。誤字脱字、抜け漏れがあれば激昂して再提出を命じられる。
- 壊れた私物のかばんの取っ手を直させる。
- 毎月行われる1日4回3日間の映画上映会で映写技師による上映ミスが発生し、朝から晩まで上映にミスが起きないか監視のため毎回鑑賞させられる。
- ライトブリッジ間にケーブルを渡したときは報告書を作成して提出。
- その他多数。
照明のミスも会社にクレーム入れられていたので、会社から電話があるときはいつもビクビクしていました。
「もう死にたい」って思っていました。
くらげが受けたセクハラ
それは多目的ホールにいたときのことでした。60代妻子持ちのチーフから突然告白を受けたのです。「好きになってしまった」と。
餃子の王将で一緒に飲み食いしていた帰りでした。そして、「お前のうちに泊めてほしい」と言われたのです。
無理だと断りましたが、遠くから2時間以上かけて通っているので「もう終電は終わった」と言われました。
屹立した自分のイチモツを撮った写メを送られたり、控室でふいに二人きりになったときに迫られたこともありました。
誰にも相談できませんでした。会社に言ったところで、また「お前が悪い」と言われるだけ。ただ我慢するしかありませんでした。
何度も「今すぐお前に会いたい」というメールが届きました。
チーフからのセクハラと管理担当からのパワハラに苦しみ、現場仕事にも出れず、がんじがらめの状態でした。
ようやく逃げることができたのは、またも異動の話が出たからです。ようやくここから逃げられると思いました。
それから即チーフの電話番号を着信拒否しました。それから数年して機種変更をしたとき、拒否していたチーフからのSMSが届いてしまいました。
「街でお前と似た人を見かけました。会いたいです」という気色の悪い内容でした。
セクハラを受けたことで、自分が汚されてしまったように感じました。
威圧する舞台監督
これはくらげのことではありませんが、Twitterで気になるツイートを目にしました。
照明バトンと電飾看板が当たりそうだからバトンを止めたところ「安全なんか気にしなくていいから止めずに動かせ!」と喚く舞台監督が来てたらしい。 pic.twitter.com/X2BN6BSiTM
— 籔内 暖 (@dantomomo) January 13, 2020
最初は、「こういう大きな劇場にもそんな舞台監督がいるのか」と思ったのですが、よくよくツイートのツリーを見てみると、対応したのは女性だったことがわかりました。
「安全なんか気にしなくていいから止めずに動かせ!」とうちの女性スタッフに喚いてる時に音響さんが「安全は大事だろ」とぼそっと言ってたと聞いたのが唯一の救いです。
— 籔内 暖 (@dantomomo) January 14, 2020
その場にいたわけではないのであくまでも想像でしかありませんが、もしかしたら相手が女性だということでこの舞台監督は自分のほうが上だと感じて喚いた可能性が高いです。
男性相手のときと女性相手のときで対応を変える人がいることは事実です。
この舞台監督の場合は、「安全なんか気にしなくていいから止めずに動かせ!」という言い方にそれが表れています。
おそらく、男性相手ではこういう言い方はしないはずです。
こういった、女性相手に居丈高な態度を取ることも、ハラスメントです。
ハラスメントは身近なところで起きている
もうあれから何年も経ちますが、受けた傷は未だに残っていて、こうして記事に書くのは無理やりカサブタを剥がして塩を塗ってヤスリでこするような痛さです。そりゃ忘れられるものならきれいサッパリ忘れたいですよ。
それでもカサブタを剥がしてでも書いたのは、決してハラスメントは他人事じゃないということ、同じような体験をした人に「あなたのせいじゃない」と言いたかったからです。
ハラスメントを受けたとき、すべて自分が悪いんだと思っていました。「ハラスメントは悪いことだけど、あなたも原因作っているよね。」と被害者を責める人は少なからずいます。
実際に、以前チーフからのいじめの経験をツイートしたらそういうリプが来たことがありました。
相手に恐怖しか与えない状態を、ハラスメント以外になんと言えばいいのですか? そうやってようやく声を上げた人のことを批判することはセカンドレイプと変わりません。
こういうことはただ表面化されていないだけで、水面下では数え切れないくらい起きていることです。
被害にあった人は、顔では笑っていても心に深い傷を負って生きています。
「こういう業界だから仕方ない」「こういう業界だからあって当たり前」ではなく、次の世代へつないで行くためにも、まずは身近な問題として意識してほしいと思います。