そろそろ真面目にジェンダー問題に向き合ってみないか?:舞台業界の未来のために

この記事は、2020年3月8日の「国際女性デー」に寄せて私が執筆した内容に、最新の所感を加えたものです。

3月8日は、1904年にニューヨークで婦人参政権を求めたデモが起きたことを起源とする「国際女性デー」です。1975年には国連によって正式に制定されました。イタリアでは「ミモザの日」として、男性が女性に感謝を込めてミモザの花を贈り、女性たちが自由を楽しむ日としても知られています。

私自身、この記念日の存在をきっかけに、舞台業界におけるジェンダーやハラスメントの問題について改めて深く考えることとなりました。

蓋をしていた記憶と、演劇界の現状

SNSで目にした「世の中が目を覚ましていくたびに、昔の自分も目を覚ます」という言葉に、私は強い衝撃を受けました。これまで「女性だからといって苦労したことはない」と思い込もうとしてきましたが、実は私自身も、無意識のうちに嫌悪感や喪失感といった記憶に蓋をしていたことに気づかされたのです。

当時の演劇界ではハラスメント問題が相次いで表面化しており、それは決して他人事ではなく、私たちのすぐ身近な場所で起きている切実な課題であると感じていました。

現場の温度差:2020年当時の苦い経験

2020年2月、日本照明家協会が主催する「全国舞台照明技術者会議」に参加した際、私は「ホール・劇場管理者の集い」という意見交換会でハラスメントについて話題を振ってみました。

具体的には、ある不当な対応の事例を挙げ、それが「対応したのが女性スタッフだったからこそ起きたのではないか」という懸念を伝えました。しかし、その場にいた男性管理職の方々からの反応は、非常に厳しいものでした。

  • 「女性だから起きたとは考えにくい」
  • 「自分も『男のくせに』と言われたことがある」
  • 「それは個人の人間性の問題だ」

といった意見が大半を占め、私の問題提起は一蹴されてしまったのです。

「ただ、あなたが知らないだけ」という事実

その場では言い返すことすらできず、心に深いモヤモヤだけが残りました。しかしその後、ようやく一つの結論に達しました。こうした反応を示す方々は、女性が幼少期からどれほど多くの性差別を受けながら生きているか、その現実に想像が及んでいないだけなのだということです。

舞台業界ももはや男性だけの世界ではありません。それでもなお、多くの女性スタッフが生きづらさを感じながら、現場を円滑に進めるために感情を押し殺して振る舞っている現実があります。男性の皆さんに知ってほしいのは、「問題がない」のではなく「ただ、あなたが知らないだけ」かもしれない、ということでした。

2025年、変化の兆しを感じて

それから数年が経ち、状況は少しずつ変わり始めているようです。2025年に開催されたライブ・エンターテイメントEXPO 2025『女性舞台照明家の未来を語る/ライフステージを越えて輝き続けるために』という座談会に登壇したときのことです。

終演後に座談会があり、聴講者や出演者の皆さんともっと掘り下げて話をする機会がありました。その際には、男性側の認識がだいぶ変わってきたという印象を受けました。2020年当時に感じたような強い拒絶反応ではなく、共に課題を考えようとする姿勢が見られたことは、業界にとって大きな一歩だと感じています。少しずつ改善されていくことを期待したいと思います。

おわりに:次世代のためにできること

私たちは、このジェンダー問題についてもっと真面目に、真剣に議論を重ねていかなければなりません。そして女性自身も、違和感や「嫌だ」という気持ちをごまかさず、時には正当な怒りとして伝えていく勇気を持つことが必要です。

今の現場を変えていく努力が、次世代のスタッフたちがより健やかに働ける未来につながると信じています。まずは身近な事実に関心を持つことから、一緒に始めてみませんか。