メモリ機能のない調光操作卓からシーンメモリー機能付きの調光操作卓に替わったとき、今まで使ったことのない用語や機能に戸惑います。ここでは、管理者側も覚えておきたいシーンメモリー機能付き調光操作卓で必要な用語や機能について説明していきます。
サブマスターフェーダー
通称サブと呼んでいます。通常、10本から20本程度で、プリセットフェーダーの下に設置されています。このサブマスターは、プリセットフェーダーで作った明かりを記憶することができます。機能としては、段マスターが並んでいるようなものです。
サブマスターフェーダーにはチャンネルの他にページ機能もあります。ページは現在主流になっている国産調光操作卓の多くが50ページまで備えており、50ページ×20チャンネルで合計1,000シーンを記憶することが可能です。
また、作った明かりの他に、チェイスやシーン明かりを入れることもできます。このシーン明かりやチェイスを入れることを、割り付けと呼んでいます。簡単に明かりが記憶できて再生もフェーダーを上げるだけなので、講演会からカラオケ、ライブなどほとんどの催事でこのサブマスターだけで操作されています。
シーンメモリー
再生したい明かりに番号を付けて再生していく方法です。F153ではCUEという名称です。
再生は、操作はUP/DOWNフェーダーもしくはGOボタンで行ないます。シーンメモリーにはタイムを入れることができます。このタイムの機能にはFADE,DELAY,WAITと呼ばれるそれぞれ違った動きをする機能があります。
FADE
FADE TIMEは、そのCUE明かりがアップする時間と、ダウンする時間のことを指します。
チェイス
DELAY
DELAYは、GOボタンを押してそのシーン明かりがアップないしはダウンするまでの時間の設定です。アップする時間とダウンする時間を遅らせることができます。たとえば、GOボタンを押して3秒後にCUE3の明かりをアップしたい。GOボタンを押して10秒後にCUE5の明かりを落としたいというようなときに使います。
WAIT
WAITは、GOボタンを押してシーン明かりが再生されたあと、続けて次のシーンが再生させるまでの時間を言います。WAITを設定すると、設定した次のCUEもWAIT終了後に自動再生されます。
PART
PARTは、CUEで進行している明かりのうち、任意のチャンネルをそのCUEとは異なる進行をさせるプログラムです。たとえば、CUE8を3秒でUP,CUE9を10秒でDOWNしているときに、CH5とCH12だけ1秒でフェイドインさせたい、というようなときに使います。また、DELAY,EFFECTの設定もすることができます。
チェイスは、任意の灯体を連続で点滅させる再生方法です。タイムを入れて、曲などに合わせ点滅速度を変化させることができます。EFFECTという名称でも使われています。
データ規格
シーンメモリーのデータは、すべてデータとして保存ができます。保存には3.5インチ2HDのフロッピーディスクを必要とします。保存データの規格は、以下の通りです。
COMOS
平成8年に策定された、[JATET-L-6090 COMOSフロッピディスク 調光データフォーマット規格]で、通称comos規格と呼ばれています。この規格で保存することにより、同メーカーの別機種や国内メーカーの調光卓であれば共用することが可能です。
JASCII
COMOSが特定のハードウェアに依存したものに対し、JASCIIは一般的なテキストファイル形式です。FADE,DELAY,WAITのタイムデータ、PARTデータの保存も可能です。
(出典 : JATET/JATET規格より)