半年ぶりに舞台スタッフを目指す学生と若手のためのお話し会を開催しました。
今まではZoomで対話したのですが、全員で盛り上がるとまではなかなか行かなかったので、今回はDiscordというアプリを使ったチャット形式にしました。また、毎回途中でネタ切れしていたので、参加者は学生や若手だけでなく若手じゃない方々にも会話に参加してもらい、事前アンケートを取って話のネタを作っておくことにしました。ちなみに、これで3回目なのですが、前回はZoomでの録音に失敗してしまい、記録は残っていません。
そうして、前回までの反省を活かして改善した今回のお話し会。さて、どんな会話が繰り広げられたのでしょうか。
まずは自己紹介
くらげ 本日は、「舞台スタッフを目指す学生、若手のためのお話し会」にご参加いただきありがとうございます。まずは、皆様の簡単な自己紹介からお願いいたします。学生であれば何年生かと、どういう内容の学科に所属しているかを教えて下さい。若手の方は、セクション名、何年目かを教えて下さい。若手じゃない方は、簡単な経歴をお願いいたします。
高田竜弘 はじめまして。 札幌で大道具をやってます高田竜弘と言います。2年目です よろしくお願いします。
yone おじさん枠から 照明のフリーランスで 元々芝居、歌舞伎、日舞出身 今は歌物を中心に、バレエ、ダンス、企業系イベント等を中心に活動しています 舞台監督等もチラホラと 劇場管理もやってます。
あくび 皆様初めまして。 現在ツアー会社でシステムデザインとビジュアライザーの作図を主な業務として行っていて今年の4月で4年目になります。
松本兼一郎 東京で活動始めて10年ちょっと、今は大阪で大道具と小劇場で舞台美術やって8年です。東京では小劇場の管理と、寄り合いの工房運営と、舞台美術プランを並行していて 今、大阪で割とオールジャンル(でも、イベント・展示・木工寄り)のフリー大道具と小劇場の舞台美術プラン、そして最近こっちでもスタジオ/工房運営に関わり始めました。
ヤマダ はじめまして。 普通科高校の2年生です。 よろしくお願いします。
akariya_com みなさま はじめまして。よねさん同様オッサン枠・29年目です。 主にライブツアー案件・フェス案件の施工・オペ等々を担当していますが、基本的にはノンジャンル・オールラウンダーのつもりです。
くらげ 専門卒業して学校公演の劇団を1年半くらい。照明会社で10年以上小屋付き。会社変えたけど1年で辞めフリーランスを4年くらいやって今は会社員に戻って小屋付きやっています。
eleanor こんばんは。はじめまして。 音響の専門学校を出たのに照明部に属してます。 現在は静岡でホールでコヤツキしています。 平成7年入社のおっちゃんです。
natsuki はじめまして。先日専門学校を卒業し、4月より照明会社に入社する奈月と申します。 よろしくお願いいたします。
ななし フリーで明かりやってるななしです。 小屋付き経験を経て現在フリー。 どのジャンルも手を出しています。 おばさん枠です( *´艸)
中佐 演劇学科がある大学卒業後、フリーランスで舞台照明やってます。 中佐真梨香です。 舞台照明を使ったインスタレーションを作ってます。 よろしくお願いします。
あいき 専門学校卒業後、照明会社に就職し、結婚、妊娠で退社して、今は育児に奮闘しながらフリーで頑張ってます。誤字多いですが何卒宜しくお願いします。
MK3 大分大学理工学部音メディア処理研究室所属新4年のMK3と申します。音響信号処理と室内音場などを研究しており、大学院進学を経て将来的には業務用音響機材の開発などしたいと考えております。大分県内PA会社でアルバイト3年目です。よろしくお願いいたします。
若手の方が実際に感じた舞台スタッフのイメージ
くらげ では、さっそく本題に入ります。事前アンケートを取った結果では、学生の皆さんは舞台スタッフの世界は厳しいイメージや体育会系、などといったマイナスのイメージを持たれている方が多くいらっしゃいました。 若手の方は、実際に入ってみてそういったマイナスのイメージを感じましたか?
高田 やはりかなり大変な部分も多いですし優しい人ばかりではないです。でもそれと同じくらい楽しいこともあります。
あくび 社風のおかげかあまり怒号が飛ぶような事はありませんでしたが、学校では講師の方々に業界の厳しさに脅されながら学んできました。
くらげ 怖いイメージが強い一方で、楽しそう、やりがいがありそうっていうプラスのイメージもあって、実際には高田さんがおっしゃるように「楽しい」面もいろいろあると思います。 そこで、若手の方、若手じゃない方ともども、怖いと思っている学生さんにこの仕事のイメージがプラスになるようなアピールがあればお願いします。
yone アホほど難しいきっかけを完璧に決めた時とかですかね。後は今となっては少ないですが、お気に入りのアーティストと仕事をする時とか?ま、お気に入りの人は、仕事するのでなくて、観に行くのが一番良いのですが、客側が一番… 本末転倒。
道具畑にも居たもので、自分が建てたセットに照明が当たった瞬間ってのも、何者にも変えられない時かなと。
高田 気さくで面白い人も多いですし、自分が関わった舞台の幕が降りる時の感動は何にも変え難いものがありますね。 大変な転換とか仕掛けもきっちり決まると嬉しいです。
技術に不安を感じている方へのアドバイス
くらげ 若手じゃない方に質問です。不安なこと、心配なことで多かったのが、照明の方のパッチやシュート、竿の使い方が下手、明かりが覚えられないと言った技術面の不安を感じられている方が多くいらっしゃいました。なにかアドバイスはありますか?
yone 明かりが覚えられないって、どういったシチュエーションなんでしょか?
くらげ 明かりが覚えられないについては、詳細不明です。
ななし 経験を詰むしかないかなあ、と。
eleanor パッチの仕方→卓を覚えられないんでしょうか?それは反復練習で覚えるしかないと思います。 竿に関しては、いきなりシュートするのもキビシイと思うので作業灯の点いた状態で、竿で突いていい場所、どうすれば正解かを理解するといいかもです。 「明かりが覚えられない」は、何か理論的な事なのでしょうか??? まずは見え方、魅せ方、印象なんかを体感すればいいかと…。
くらげ 明かりが覚えられないというのは見え方や魅せ方といった俯瞰でまだ見れていないのかも知れませんね。エレノアさんやななしさんのおっしゃる通り、経験を積んでいくしかないですね。
中佐 パッチの仕方うんぬんは、 自分がどうしたいのかを経験したら自ずと覚えられるようになりました。 学生のころは人の書いた図面を覚えられなくてばち怒られていました。 チャンネル覚えなきゃいけないときは、卓触らせてもらってチャンネルチェックを自分でして覚えましたね。
akariya_com 技術的な事柄ってのは、日々の積み重ねでしかないのかも。私もまだまだ日々勉強の毎日ですよ。 そして、知らないうちに克服できてたりするもんです。明かりを覚える云々ってのは・・・・あくまでも私の経験上ですけど、400~500シーンを超えたあたりで、自分で作った明かりも覚えてられなくなります。
yone 照明も裾野が広いですから、正直パッチ出来なくったって、竿使えなくても通用する世界もあったりで、自分が行きたい世界にどんな技術が必要とされるのかだと思うんですよね。全てが出来るってのが理想だと思いますが、小屋卓使える人ってレベルでツアーメンバー探してたりするくらいですから。バリバリフェスでオペしてる人から、「小屋卓使えるんですか 。凄いですね。」と言われてしまいましたよ、つい最近。
先輩や上司との関わり方
くらげ 先輩や上司との関わり方について教えて下さい。うまく付き合っていく方法とか、かわいがられるとか。
yone 返事ができるってのが重要かな。わからないことをわからないと聞くことが出来るってのは重要かなと。聞くと怒っちゃう人が居るのも問題なんですけど。私は基本同じことを3回までは聞いていいと普段は言ってます。後は飲みニケーションが得意だと有利ってのは、まだ生き残ってるかなと思います。飲まなくても参加出来るってのは有利かなと。
松本 最近出会った学生で、すごく積極的に(まだ仕事としてでなく)手伝いで現場行ったり、質問したりする子がいるのだけど、そういうのはやはりどこに行ってもかわいがられますね。
中佐 連絡の返信を早くする、積極的に上の方の名前を呼ぶ、わからないことをわからないと素直に聞いたり、ご飯を一緒に食べたりと、作業以外でのコミュニケーションで仲良くなれると嬉しいです!
くらげ やはりコミュニケーションを積極的に取るのは大事ですね。
中佐 下からの目線になりますが、 ちなみにわたしはお酒が全く飲めないので、あまり飲みには行きませんが、2回目以降会う人にはにこにこ話しかけるようにしてます。 人見知りなので1回目はかなり無口です。
ななし 臆さずになんでも聞いてください。教えることが先輩としての役目ですので。確かに怒る人はすぐに怒ります。めげずに質問する、笑顔で元気よく挨拶していれば大丈夫ですよ。
松本 飲めないまでも、飯食いに行く、ふわっと一緒に行くとかでも、ちょっとずつ関係を重ねられますね。そういうことにしても、仕事中にしても、若いひとや不慣れなひと・レベルが近いひとで固まる(そのほうが楽だったり安心なんだと思う)傾向はよく見かけますが。
ななし やはり人間ですから、コミュニケーションが大事ですね。
eleanor まずは返事やリアクション、あとは「仕事に対しての姿勢」なんかを見られると思いますが、実は単に 「質問してくるコ」 「好奇心持ってるコ」 あとは 「明るく前向きなコ」には 教えたくなるし、伝えたくなるし、大きく育ってほしい… そんな夢を見たくなります。
くらげ どうしても聞くの怖いし怒られたらいやだし、忙しそうだしって聞きそびれちゃうけど、めげずに質問するって事が大事ですね。
ヤマダ ものすごく人見知りで、初めましての方と話すのがとても苦手なのでコミュニケーションの面にとても不安があります。何回か関わりがあれば先輩でも気楽に話ができるのですが、初めましての繋がりが重要な業界というイメージがあるので。
akariya_com そこは、あまり心配しなくてもなんとかなるような気がしますよ。はじめましては1度だけですから。
くらげ 中佐さんは人見知りとのことですが、初対面の方とはどう接していますか?
中佐 とにかく一生懸命にやってるって感じですね。返事だけめっちゃよくします はい!!って。 それ以外の休憩中とかは話聞きながら頷いたりなんかしてます。あと、終わったあとに「ありがとうございました。また、よろしくお願いします。」って連絡します。
くらげ 返事大きくとか一生懸命やっているというフリってけっこう大事ですね。そういうところ見られていますしね。
中佐 めっちゃフリですね 。はじめての人の現場なんかはやり方も全然わからないし、まわりの動き見ながらやってる風です。 やり方確認してからやり始めますね。あとは、ここどうしてますかって他の増員やプランナーに聞いたりしてます。 下手にわからないままやると仕事増えるので確認は大事です。
ヤマダ 皆さんありがとうございます。学ぶ姿勢や誠意を見せることが大切ですよね。
yone この歳になっても、初めましてのプランナーや会社だと、やり方が違って戸惑うものです。慣れてる人に聞くって事は大切で基本ですね。
松本 歳は食ってますが、まだ大阪では知らない人が多い現場や、あまり行かない畑の現場行く、初めましてのことあって、まあそういうときは一生懸命動くとか、装備を油断せずに用意したりはしますね。
中佐 装備大切ですね。 忘れがちだけどメジャーとかラチェット持ってると、「おっ!できるな」って思われたりしますねきっと。
yone 何でもかんでも持ちすぎて、身動き取れなくなってる人がたまに居たり。現場には一通り持って行って、必要なものを手元に、予備的なものはすぐに取りに行ける場所に置いておくというのも経験値なのかな。
松本 そうですね。二回目とか慣れてきたらどんどん軽い腰回りにするけど、最初は「いつもと違う」とやりにくいので、いつものフル装備から様子見て外して軽くしてますねー。
中佐 なるべくポケットに入れられるものを最小限に厳選して、重たいものはポーチにいれて客席なんかに置いておくといいですね。「あれ、あるかな?」と言われて「あります!」って取りに行けると良いと思います…!
スタッフ同士の付き合いは1度の公演だけ?
ヤマダ 1度の公演だけの付き合いなんてことも多いようなイメージなのですが、実際はどうなんでしょうか?
yone もう会いたくないなこの人って人ほど、また会ったりして。業界は非常に狭いですよ。
ななし この世界は狭いんですよ(^ー^) あれ?この人前に会ったけど名前忘れた!ヤベー( ;∀;)は何度もあります。
高田 札幌なんかは人数が少ないので、だいたい何回も同じ現場になります。
yone 最近はヘルメット装着が多いので、そこに書いてある名前を頼りにすることも多々 名前覚えるのが苦手なので、まあ、逃げに入ってますね私。
フリーとして生きていくには、1社とべったりではなくて、適度にバランスよく回せるツテが大事かなと思います。このご時世、いつ取引先無くなるかわかりませんし、いつ切られるかも分からない世界ですからね。
ななし 確かによねさんの言う通り、フリーは一社だけとの付き合いは危ないっす。
現場で怒られた経験のうち、強烈なのを教えて!
くらげ 若手の方やそうじゃない方の現場で怒られたことを教えて下さい。たくさんあると思いますので、強烈なのをお願いします。
yone 上下(かみしも)の言い間違いってのはいまだにあるのではないですかね 。上手からバラせと言われてバラしたら、「なんでそっちからバラすんだ、あっちからだろう」と下手を指さされ、もう理不尽ですよね。
ななし ヤクザの現場でヤーサンに怒鳴られた( ;∀;)
yone ピンオペしてて、「#64捨ててもらって大丈夫です。」の直後に「64GO」。 死ねばいいのにと思いましたね。
akariya_com スミマセン 酒が進みます。
あいき ツアー断ったら「子持ちはツアーも行けないくせに!」ってみんなの前で怒鳴られたことですかね。「お前のギャラが安いから断っているんだけど」って言ってやろうかと思いました。そして縁切りました。
ななし 女性は難しいですね。 妊娠、出産、育児。この業界自体が変わらないといけない時になってます。
高田 作業しようと思ったら、「ちょっと待ってろ」と言われたので待っていたら、「なんでやってないんだ」って怒られました。なぐりでぶっ叩いてやろうかと思いました。
松本 いきなり「オレにニラまれたらこの世界では生きていけへんぞ!」て凄まれた。 驚いたし、気い悪かったけど、 「あ、この人、気ぃ小さいんやなー」って思いました。
中佐 「そんな生き方じゃダメだよ。わたしみたいになれないよ? 」ですかね… 師匠っていう師匠がいないので、上からの学びが少ないって感じで怒られたのかなと思ってます。
yone 「積み込みお願い」と、トラックに回され、 バラシだけの参加なので全体物量もわからず 、積み込み表もないのでとにかく降りてくるものを詰め込むしかなく 。まあ、ごちゃごちゃな結果になるわけですよ。 それを「なんでこんな積み込みなんだ」と怒られて、「知るかボケ」となる訳ですね。
natsuki 想像以上に理不尽だなあと今思ってます……強くいられるメンタル重要ですね...。
ヤマダ みなさん理不尽なエピソードが多いですね…。
ななし まだ昔気質のひとがいらっしゃるんですよ…。
あいき 怒ると叱るって違うんですよね。そこを勘違いしてる人って多いのかもですね。
中佐 理不尽じゃないこともたくさん怒られてます…! それは自分悪いわって思うことの方が多いです…! 今思うと怒ってくれる人ってある意味貴重だなと思います。
ななし 確かに怒ってくれるうちがハナですよね。 この年になるとなかなか怒ってくれるひとは貴重です。
中佐 ある程度越えると、怒られるんじゃなくて切られますね 。フリーランスだと特に。
akariya_com 20代前半の頃、某芝居ツアーで。 仕込みバトンの変更は発生したためホール照明さんに伝えに行ったところ・・・ 「にーちゃん、そのバトンはTシャツ干してるから使えんねん」と。「え・・・そうですかぁ・・・・」とチーフに持ち帰ったら 「んなわけあるか! もう一回行ってこい」と。
natsuki 専門学校を卒業する時に講師の人に「お前の行く会社変な人多いからお前負けそうで心配だ」って言われてるんですが、やっぱり変な人ほどそう言う理不尽なことが多いんでしょうか…。
ななし 一種のお決まり文句だと思いますよ。 あまり気にしなくても大丈夫かと…。
松本 でもまあ、どんどんそういう昔気質な時代でもなくなってますね。 利用者に暴言吐いた人がいて、入ってたスタッフ(舞台部のみならず音照まで)この春から総入れ替えなったホールとか、管理の照明さんに「こっち来んな、ブス」言うて出禁なったって話も聞きます。
中佐 もう職業関係ない悪口ですねそれはw
ななし モラハラですね。
中佐 仲良い人と一緒の現場の時に、新人の初めましての方がいたりしたときに、 仲間内みたいなノリが、モラハラパワハラみたいになってしまうことはあると思っていて。なるべく初めましての方がいる時は気をつけてます。
高田 モラハラセクハラって結構ありますね。うちの会社だけかもですが。
ななし どこでもありますよ… 残念ながら…。
あいき 私、自分たちの世代でモラハラセクハラいたらショックですね。
yone 数年前まで「新人募集、ボインちゃん」って書いてた会社が実在しますからね。
くらげ モラハラセクハラは大手では改善されてきているイメージありますね。小さいところはまだまだ昔の体質のまんまですが。
松本 気分屋で切れることがあった道具会社の営業さんは、現場から事務方に回されたりしてるのもありますねー。
yone 何処ぞの照明家協会新人賞受賞プランナーは、セクハラで新人何人も辞めさせてますし。いまだに鉄拳制裁で骨折させて裁判沙汰直前って話も聞きましたよ。
yone あまりこんな事ばかり書くと将来この業界目指す若人には申し訳ない気持ちでいっぱいです 。まともな会社は沢山ありますよ 。でも酷いところも生き残ってしまっている現実。
ななし なんというか、夢の世界ではないのが現実です…。
くらげ それでも少しづつ改善されているところはあるので、やばい会社はすぐ辞めていいと思います。
yone 間違いなく、うちらが始めた当時よりは、労働環境は改善してきていると思いますね。ですがムービングありきで、事前打ち込み等の段取り増加。ひと現場に対する事前労働という面では悪化している印象です。その分の対価面の改善はほぼ無いイメージ。
高田 今はまだ辞めたいとは思わないですが。高卒で入社したので辞めるとなるとちょっと怖い部分があります。
中佐 身体と心を壊す前にやめたほうがいいとは思いますが、フリーランスでも身体も心も壊れるので、なんとも言えないですね……。
ななし 私は壊しました 心も身体も... メンタルが弱いプラス生活が荒れる…。
yone 同じくですね。
中佐 でも、舞台活動やめると病むからやめられないんですよね。
yone 好きを仕事にしていたので、割り切りが出来ないストレスから来る変調。他に趣味を持つことで釣り合いを取っている感じです。
中佐 「適度に」っていうのがいいんだと思います。
yone 思い切って芝居業界離れたら清々しましたよ、私は。
ななし 私も一旦離れました。
あいき 私も子育てで2年離れ、結果戻っていました 笑
くらげ 同じく、一度離れて別業種に就きました。思い切って一度離れても縁があれば意外とすんなり戻れるんですよね。
松本 舞台美術プランナーとしては割り切らず、大道具さんとしてはフリーだし兵隊だし、割り切って仕事することでバランスとってますかねー。
高田 舞台が好きで、高校卒業してこの業界飛び込みましたが、入社1年目はコロナで半年現場が無くて。今年2年目なのに出来ないことが多くて。ほんとに好きなのか分からなくなってきます。
あいき 出来ないことが多いということは、これからもっと成長するということだと思います。
ななし 時期が悪かったですね、それは本当にかわいそうだと思います… コロナ収束せん限りイベント業界はどうなるんでしょうね。
くらげ 私なんてできないこと多すぎてずっと悩んできて、その思いがあったからブログをやってきて、こういった活動につながっています。その悩みが誰かをいつか助けるかも知れません。
akariya_com どのセクションにも言えることだと思うんですけどね。 この業界の仕事って「想い続ける事」が出来るか出来ないか。それだけです。
yone 好きな事を趣味として楽しむのと、仕事にするって事の違いは大きいかなと。正直、昔は芝居が好きでやってましたけど、今はどちらかと言えば嫌いですかね。
くらげ 私も芝居好きだったけど離れてみたら全然平気で、案外好きじゃなかったのかもって思いました。ずっと芝居をやり続けている方々がTwitterには多いのですごいなーって思っています。
中佐 わたしは舞台照明で表現するってことが今一番スッとできるから続けてます。芝居もダンスも好きではないです。特にコロナ前は。今は少し好きになりました 笑
ななし Twitter上で芝居の話がいっぱい出ていますが、実は私も嫌いなんですよ…。
yone お気にの劇団を観に行くのは好きですけどね。小劇場とかはほんとにたまにで良いです。大御所俳優さんや、プランナーさんとご一緒できたりする現場は楽しいですけどね。忘れられない仕事は沢山あります。
あいき 私はプランが好きなので、全然苦じゃないですね。昨日までミュージカルの現場でオペレーターですが、他の方から学ぶこと多くて、とても楽しかったです。
yone 自分の現場ってのも楽しいですけど、正直たまにで充分です。責任もって楽しくやれる範囲で結構。連日プランしている人はすごいと思いますよ。 人の現場で兵隊して、如何に楽しめるのかってのも長続きするコツかなと。
松本 自分は、今もまさに稽古場だったりしますが…、なんでも請けるというより、気に入って出来るところだけ請けるようにブランディング?してますね。
ここまでの話で若手や学生はどう感じている?
ななし ところでここまでの話で若手の方はどう感じているのでしょうか?
natsuki すごく正直なお話が聞けてるなと感じてます……。入社がもうすぐなので今はちょっと不安の方が多いんですけど、ちょっと肩の力は抜けそうな気がします。
高田 とっても楽しいです。こういうお話があまり普段出来ないので。色々と楽になります。
akariya_com ダメな大人たちのお話かもしれませんけどね。 大丈夫。なんとかなりますよ。
中佐 もしかしたら永遠にみんなダメな後輩たちなのかもしれませんね。
ななし 最初は怒られてばかりだと思います。でも継続は力なりですから信念を貫いてください。ジジイがなんか言ってきても、「どうせあいつのほうが先に死ぬんだし!」ぐらいの気構えでw
高田 「どうせあいつの方が先に死ぬんだし」ってほんとに魔法の言葉です。自分も何回もその言葉で色々乗り越えました。
natsuki 怒られるとめちゃくちゃ凹んでしまうタイプなのでそれくらいの気構えでいられるように頑張ります…。
ななし 現場はピリピリすることが多いと思いますが、結構中身はダメ人間多いんですよw 「あいつダメ人間のくせに!」と思っておきましょう。
yone 「NHKのプロフェッショナル仕事の流儀」、庵野さんの回観てたりしますかね? 天才肌の人は基本変人です。それに付き合えないと難しいのかなと。
照明そのものを好きになってほしい
yone 芝居志望だから、芝居しかやりたくないってのは、勿体ないなと思います。コンサート系でもそうですが、照明の裾野は広いですから、色々と知って欲しいなと。
くらげ あと、もっと外に出て街の明かりを見て自然を感じてほしいですね。ずっと屋内にこもっていても、いい明かりは作れません。
あいき 「コンサートが好き、芝居が好き、イベントが好き、ではなく、照明を好きになれ。」って専門の時の講師が言ってた言葉を思い出します。
akariya_com ジャンルに固執することなく、視野を広く持って欲しいと思います。 とくに若いうちは。切に願います。
若手の方がこれだけは気を付けようと思っていること
くらげ 若手の方が、これだけは気を付けようと思っていることはありますか?
高田 返事と謝罪と感謝の言葉は必ず言う事です。あとは言われた事を忘れないようにとも思うんですけど。覚えられなくて何度もこの前教えただろって怒られてます。
くらげ 忙しい現場だと厳しいかも知れないけど、その場ですぐにメモを取るというのも大事かなと思います。覚えているようですぐに忘れるので。あとは、休憩時間にここは気を付けようと思うところを思い出してメモしておくとか。
MK3 自分はアルバイトの立場なので迷ったら必ず先輩に確認を怠らないようにしてます。もちろん何でもかんでも聞かずに、資料から読み取ったり雰囲気を察するのも大切だと思ってますが、やはり些細なことでも色々齟齬が発生しうるので…。
くらげ 若手じゃなくても、とにかく確認を怠らないことって一番大事ですね。特に私は「ま、平気だろう」って甘く見てしまうので、自戒も込めて。
あいき 私がチーフの時は、若手の子がいる時は比較的若い子に寛容な方々をお呼びしております。若手の方々が、怖がりながら現場やるのは良くないと思ってるので。
あくび システムエンジニアという立場上本番を飛ばしてしまう可能性もあるので、確認不足による事故は絶対に起こさないように気を付けています。
yone 優秀なシステマーの重要性というのは、理解され始めたのがここ10年辺りなのではないかと思います。
あくび 灯体のチャンネル数増加に伴ってショーでのユニバース数も増えてきてるので、ネットワーク等が必要になってくる現場も増えてきています。
くらげ 私も初めてエンジニアの存在を知ったので、まだ認知度は低いかも知れませんが、縁の下の力持ち的な存在ですね。
ヤマダ すみません。システムエンジニアとはどのような仕事をなさっているのでしょうか?
yone システマーって存在が一般にはしられてないでしょうから補足を。何処にどの灯体を配置して操作するかってのがプランナーの仕事で、それをどのように配線して、卓に繋げるかを設計するのがシステマーのお仕事ですかね。ざっと言ってしまうと。技術は、時間が経つと共にノウハウが蓄積されて安全に動作するようになります。それに増して新しい技術が出てくるイタチごっこで、その中から現場ごとに最適な組み合わせを考え、アッセンブリするのがシステマーとしての腕の見せどころですかね。
今後どんな機器があれば効率よく現場が回る?
くらげ 今後、どのような機器が出てくると効率よく現場が回ると思いますか?皆さんの日々の現場で感じることや、あくびさんのシステムエンジニアとしての立場やMK3さんの学ばれている分野など、いろいろな面から意見をお願いいたします。
ななし AI機能付きの機材。
MK3 自分はいわゆる情報系の学部に所属してまして、友人と一緒にunityというゲームエンジン場で動く照明卓を製作したことがあります。その友人は別の研究室でまさに機械学習で音楽を解析して照明を行う研究をしているので、実用はさておき興味を持って研究している人はいます。
中佐 完全無線のLED機材…。遠く離れたところから操作できる卓……。
yone メーカーに散々言ってきている事なのですが、電源と信号を一動作で結線できるコネクターの開発。もしくは電源線へ信号を乗せて、仕込み作業の省力化。LED機器についてなのですが、現状は個々の機器内部でAC100vを直流にして使っているわけなんですよね。これをDC給電に出来れば、個々の機器の軽量化につながると散々言ってますが、実現は程遠そうです。
yone ユニバースという概念がない、もしくはユニバース内のチャンネル数がもっと増えて、デイジー出来る台数が増やせる信号経路の開発とかはどうですかね。
あくび ネットワークをコントロールやモニタリング出来る簡易的なコンソールなどがあるとエンジニアとしては非常に助かります。現状はPCソフトウェアなどでしか確認出来ないので…。
MK3 自分は音響についてですが、絶対にノイズなどトラブルを出さないようにする、また出したとしても確実に壊れてその場で即直せる機材です。現場での機器のトラブルシューティングほど時間の無駄だと思うことはありません。
eleanor 省電力・高効率化が進み、バッテリー駆動。無線も搭載した【完全ワイヤレスな灯体】なんか出そうですね。 ドローンと一体化したり…
将来、照明家はAIに取って代わられる?
くらげ ちょうどAIの話も出たので… 高校生が担任の先生に「照明家になりたい」と言ったら「そういうのは将来AIに取って代わられるのでは」と言われたけど、実際のところはどうなのかという質問が来ていましたが、実際のところどうなんでしょうか。
中佐 その先生にとって、照明は芸術活動の一環として見られていないのか、 そもそも芸術はAIでもできると思われてるのか気になりますね…!
yone 何の先生だったんだろうか?
松本 「照明家」をどう知っているのか、イメージしているのか?知らないひとも多いだろうし。
中佐 業界の人じゃない人たちにどう思われてるのか、とても興味ありますね!
akariya_com ○○家って言い回しは、ボクにはどうしてもできない。です。
中佐 生身の人が舞台に立ってる以上、完全AI化は難しいんじゃないかって良く言ってますね。私はピンが苦手かつ嫌いなので、早くAI化すればいいのにとは思いますが、やはり人間を追いかける以上、人間がやったほうがいいですよね。初音ミクのコンサートとかは、もしかしたらAIでもよくなってしまうのか…? デザイン的な部分はいつまでも人間の仕事だとは思いますが…。
MK3 大体の仕事はAIにとってかわられますし、ステージワークが完全にAIに置き換えられるのは難易度高いと思ってます。(余談ですがその前に教員の方がインターネットのコンテンツなどに代わられそうですね…。
yone 現状のAIってのは、公約数をとって安牌に仕上げるという印象があります。確かにそれで賄える世界もあるとは思いますが、アーティスト、職人肌の世界か置き換えられるのはまだ先かなと。
松本 毎年、毎月、ほとんど同じ物仕込んでバラしてるような行事ものでも、道具手のメンツやちょっとしたことで毎度毎度、段取りややり方が少しずつ違ってるような現場重ねていると、さてAIにどれほど...と思わなくはない。AIやロボットよりも、人間のほうがコストが安い(それでよいのか?)ので、なかなかとって変わらないって局面が多く続きそうな気もしますね。
yone これだけ日々新しい機材が出てくる環境で、どれだけそれに着いてこられるのかと言ったら、難しいのではというのが現状の感想ではあります。
あいき そもそもAIの定義ってなんなんでしょうか?まずはそこからのような気もします。
ヤマダ 定義ってどうなんでしょう。最近色んな製品がAI搭載!って謳ってますけど、それは本当にAIと呼んでいいものなのか?といつも疑問に思ってます…。
人間の能力を補うAIなら歓迎
MK3 現在の深層学習と呼ばれる分野では、様々なデータから似たような傾向を見出してそれに沿ったものを作るということはとても活発に行われています。過去のプランを学習したコンピュータが新規現場の雰囲気からプランの提案を行うのはそこまで難しくないのかもしれません。
しかし新しいものや突飛な発想をつくるということは、まだまだ研究の域から出ていないように思います。
あいき なるほどです。学習したことを忘れないのは羨ましいですね。
akariya_com 日々忘れていくので・・・爆
あいき そこを補ってくれるAI大歓迎ですね!
akariya_com 「なにやってんだよ」って、機械にシバカレル・・・。ゼロからイチを生み出すというよりは、、人間の補完ってのが一番早いのかもしれませんね。
MK3 ただ学習したことは忘れませんが、学習内容によってはピンポイントのあの現場を再現みたいなことは難しいこともあります。大数に埋もれてしまいかねないです。
あいき 完璧すぎるよりちょっと抜けてる方が愛着はわきます、笑
くらげ AIとはちょっと違うかもしれないけど、身体に装着して重たいものを持つときにサポートしてくれるロボットが開発されていて実用化もされたみたいなので、そういう人間の負担を軽減してくれたりしてくれると嬉しいですね。
中佐 死ぬまで灯体持って作業できてしまいそうな装置…! もう...やめて...ムービング持ちたくない………ウィーン…
くらげ ディストピア感満載…
松本 人間の負担を軽減してくれる台車がもっと欲しい!(そのレベル?)
くらげ 押さなくても勝手に指示したところに動いてくれる台車!
あいき 人がやる危ない作業の代行とかしてもらえると助かりますね。
akariya_com トラス吊り機材のシュートや吊り替えは、ぜひお願いしたい。
あいき 同じくです。なので、安全面でそう言うものが活用されると嬉しいです。いまだに悲惨な事故が多い現状なので…。
yone 危ない作業ってのは、他セクションの協力の元に減らせるんですよね。金銭負担でもですが いまだに労基案件をお構い無しに強行とか、そんなのが無くなるだけでどれだけ安全になるか。
中佐 全ての機材がムービングかつLEDになったらもしかしたら吊り込む作業っていらなくなります?? ウォッシュにもスポットにもゴボもピントも全ていじれる機材が揃っていれば。暴論気味ですが。
akariya_com 大事な時に、いうこと聞かなくなったりするのです。
中佐 困ったやつらですね。
松本 タチコマっぽいものを連想。
中佐 こちら側じゃなくて灯体側にAIが搭載されているの面白いですね。「違う!もう少し上手だって言ってるでしょー!」って言うこと聞かなそう。
yone 「1-4番の子たち、扇状に広がって!」 的な。
中佐 めっちゃ可愛いですね、それ。「中佐のところの機材はちょっとバカだから、時間かかるよねー」とか言われたいです。
akariya_com 灯具側から「ちょっとなに言ってんのかわかんねー」とか言われたら、どうしていいのかわからない。
MK3 どのようなインタフェースで対話するかも難しそうですね。音声、文字記号…。
舞台監督と演出部の棲み分け
くらげ ちょっと照明の話題が続いたので… 舞台監督と演出部の棲み分けが知りたいです。やはり下積みから地道に進むのが王道のキャリアなのでしょうか。
yone 舞台監督ってのも、人によってやる範囲が様々で、ご新規様と付き合うと、どこまで求められるかってところを付き合わせるのが大変だったりします。
akariya_com そもそもなんですが・・・演出部って、芝居案件でしか聞かない言葉です。
yone バレエ、オペラでも言う場合あるかなと。
akariya_com あー・・・ありますね。 LIVE案件だけなのかなぁ、聞かないの。
yone 舞台監督助手と演出部の違いって方が難しいかも。舞台監督部付き演出部なんですかね、正式には。
松本 実は、東京と関西で「演出部」の定義が違うって話が身近にありまして。関西では、演出家の補佐をするほうの演出助手〜ドラマターグ寄りの人々(演出補や演出助手と呼んだりする)を「演出部」と言う現場や座組みが多いですね。 東京で言うところの専業「演出部」で生活してるひとは関西ではほとんどいないか、いても極くわずかで東京ベース製作現場への出稼ぎが多いと思います。
yone 関東では演出部と演出家は全く別セクションですね。
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前編はここまで。続きは、後編でお楽しみください。
第3回・舞台スタッフを目指す学生と若手のためのお話し会(後編)