ケガ人や急病人が発生したとき、その場で応急手当をすることによってケガや病気の悪化を防ぎ、治療の経過もよい方向に変わってきます。また、救急車を呼ぶような事態になった場合にも、応急処置を施すことによって救命効果の向上にもつながります。
少しでも救命効果を上げるためにも、応急手当の方法を覚えておきましょう。
大出血時の止血法
一般に、体内の20%の血液が急速に失われると出血性ショックという重い状態になり、30%を超えると生命に危険を及ぼします。そのため、出血量が多ければ多いほど迅速に止血手当をする必要があります。
直接圧迫止血法
出血部位を圧迫し、包帯を巻く
止血帯法
手足の太い血管損傷による出血で、直接圧迫止血法では止血できないときは、包帯を巻いたうえで棒などを差し込んでねじり圧迫することで止血します。止血帯法を用いた場合は、止血を開始した時間を必ず明確に記録します。
ただし、この止血法はよほどの大けがでない限り、リスクのが大きいのであまり一般の方は安易に行わないことをお勧めします。
ショック状態への対応
ショック状態とは、大量の出血により血圧が低下し重要な臓器に血液が行き渡らなくなる状態で、生命の危険がある状態です。
ショックの状態
- 目がうつろになる。
- 呼吸が浅く遅くなる。
- 脈拍が弱く早い。
- 表情がぼんやりしている。
- 冷や汗が出る。
- 唇が紫色か白い。
- 身体が小刻みに震える。
- 手足が冷たくなる。
骨折に対する応急手当て
骨折の部位の確認
どこが痛いのか傷病者に聞き、痛がっているところを見ます。確認するときは、痛がっているところを動かさないようにしましょう。
骨折の症状
- 激しい痛みがあり、動かすことができない。
- 変形している。
- 骨が飛び出ている。
骨折しているところを固定する。
周りに協力者がいれば、骨折しているところを支えてもらいます。傷病者が支えられれば、自ら支えてもらいます。骨折した部位が衣服の下で脱ぐのが困難であれば、必要な部分だけハサミで切ります。
骨折した部位の上下の間接よりも長い添え木を当てて、固定します。添え木になるようなものがなければ、座布団、傘、段ボール、週刊誌などでも代用できます。
添え木の上から、三角巾やタオル、手ぬぐい、包帯、テープなどで巻き付けてしっかりと固定し、動かさないよう静かに病院へ連れて行きましょう。
打撲に対する応急手当て
軽度の打撲であれば、適切な処置をすることによって完治しますが、重度の打撲になると最悪の場合、生命の危険を及ぼす場合もあります。外傷がないからと甘く見ず、必ず応急手当てを施しましょう。
頭を打った
頭を揺さぶらないよう静かに身体を横にし、頭を安定させて寝かします。嘔吐するようなら、顔を横にします。左右の瞳孔の大きさが違ったり意識がもうろうとしている場合は、頭蓋内で出血している恐れがあります。
胸を強打
衣服を緩め、壁や椅子にもたれさせて呼吸が楽な姿勢にさせます。打撲した部分に氷や冷たいタオルを当てて、患部を冷やします。
首・背中・腰を強打
首の骨や脊椎、背骨が損傷している恐れがあるため、背骨が曲がらないよう平坦な場所へ静かに寝かせ、枕や丸めた座布団で頭を安定させます。
危険な状態
顔面が蒼白になっていたりショック症状が起きたら、ただちにショックの対処を行ってください。また、以下のような症状のときは、特に危険な状態です。適切な処置をしたあと、必ず病院の診察を受けるようにしましょう。
- 耳や鼻の穴から、血や水様の液体が出ている。
- 頭をぶつけた直後から、意識状態がおかしい。
- けいれんを起こしている。
- 吐き気や嘔吐がある。
- 息苦しさを訴えている。
- 手足が動かず、麻痺している。
ただし、危険な状態の症状が出ていたらただちに救急車を要請してください。