C-30の延長コードを作りながら、圧着端子の付け方を説明していきます。
コードを作るときに必要な工具
圧着端子をケーブルに接続するには、圧着ペンチを使います。圧着ペンチには、握って締めるタイプと、ラチェット式があります。
握るタイプは安価で比較的手に入りやすいのですが、握力が必要なため、握力の弱い女性や太いケーブルを作るのには適しません。高価でも、ラチェット式をお勧めします。
その他に、カッター、ニッパー、ワイヤストリッパー、ペンチも用意します。コードは、5.5スケアの2PNCT、5.5スケアの圧着端子4つ、C-30Aプラグとコネクタを使用します。
圧着端子の種類
作り方の説明に入る前に、圧着端子の種類と対応する容量について説明します。
圧着端子の表記
圧着端子にはいろいろな種類がありますが、照明機材やケーブルに使われているのは、裸圧着端子の丸型です。通称R端子と言います。
20Aのケーブルに使う圧着端子は、R2-4です。"R"は丸型を表しています。数字はケーブルの公称断面積の大きさです。この場合は"2㎡"で平方ミリメートルと読みます。"sq"(スケア)、"φ"と表記することもあります。
"4"は、端子を取り付けるネジの大きさを表しています。
Sの付く圧着端子
左側が"R2-4S"で、右側が"R2-4"です。数字に"S"の付く圧着端子は、端子のR部分の外形の幅が狭いものです。機材への接続に使用する場合には、幅が均等である方が熱も均一に伝わり、変形が少ないので、"S"の付いていないタイプを使用します。
また、平行のプラグに接続するときにも適しています。
舞台照明で使用される圧着端子の種類
- R1.25-4
- 1.25ミリ平方メートルのケーブルに使われています。許容電流は7Aなので、500W以下の照明機材、家庭用電源コードなどに使用されています。
- R2-4
- 一番良く使う圧着端子です。500Wから1.5kWまでの照明機材はこの圧着端子を使用しています。使用するコネクタ、プラグの種類は、T型20A、C型20Aなどです。
- R3.5-5
- 主に、20A延長コード3m~20m、30A延長コード2m~3mに使用されています。使用するコネクタ、プラグの種類は、C型30Aなどです。
- R5.5-5
- 主に20A延長ケーブル、30Aのケーブルに使われています。
許容電流
圧着端子は端子ネジの種類、使用する電線の種類と大きさが合っていないと接続不良になります。そこからショートすることもありますので、必ず適正なものを使用しましょう。
また、ケーブルについても許容電流に沿ったケーブルを使用しましょう。
より線の公称断面積 (㎡) | 2心 | 3心 |
---|---|---|
0.75 | 12 | 10 |
1.25 | 16 | 14 |
2 | 22 | 19 |
3.5 | 32 | 28 |
5.5 | 41 | 36 |
1.ケーブルの外皮を剥く
外皮を剥く長さは、接続するコネクターやプラグに合わせます。圧着端子を付ける分、多少長くなることも頭に入れておいてください。
カッターでぐるりと一周切れ目を入れ、縦にも入れます。内側の被覆を傷つけないように、力は入れすぎないようにしてください。
ぐいっと切れ目部分を曲げて広げ、切れていない部分をニッパーで少しずつ切っていきます。ここも、内側の被覆を傷つけないように慎重に行ってください。
2.内皮を剥く
ワイヤストリッパーの5.5の穴にコードを挟み、レバーを握って被覆を剥きます。慣れてきたらニッパーでも剥けますが、ワイヤストリッパーを使ったほうが早くきれいに剥けます。内側の被服は、あまり剥き過ぎてしまうと通電部が露出した状態になるのでショートする危険があります。圧着端子から1mm程度出るくらいの長さにしましょう。
3.圧着端子を接続
いよいよ圧着端子の登場です。コードに圧着端子をしっかり奥まで差し込み装着します。長さが足りないと、圧着しても抜けることがあるので、短いようだったら被覆を剥きましょう。
4.圧着端子を圧着する
ここで圧着ペンチの登場です。この圧着ペンチは、ラチェット機構により一度締めてしまうと圧着が完了しなかれば開かない仕組みになっています。うっかりペンチの間に指を入れて締めると、大怪我をすることがあるので注意しましょう。
圧着ペンチが締まっている場合は、カチカチと言う音がするまでしっかり握ります。すると、ロックが解除されてペンチが開きます。開いたら、カチッとロックが外れるまで開き切りましょう。そうしないと締めることができません。
圧着ペンチが開いたら、5.5の位置に圧着端子を挟みます。このとき、半円の突起のある側が圧着端子の丸みの側に当たるように合わせます。
圧着端子を工具に合わせたら、軽くペンチを握って圧着端子を挟みます。固定されて、端子が外れません。固定したら、ここで一気に両手で握って工具を締めます。
握力がなかったり手が小さくて締められない場合は、床を利用すると簡単です。ペンチの片側を両手で握り、片側を床に付けます。そして、床に押し付けるように締めるのです。半分くらい締まったら、今度はペンチの両側を両手で持ってしっかり締め切ります。カチッと音がしたら、開きます。