舞台照明設備は国産メーカーを使わざる得ないという現状

舞台照明機材といえば一昔前までは国産4社の製品がほとんどでしたが、最近では安価で高機能な海外製メーカーの機材が多くなりました。
特に現場では、ムービングライトやLED機材はほぼ海外製品というところも多々あります。

国産とは違い、シンプルで多様性のある機能が魅力的な機材が多いため、ぜひホールや劇場でも取り入れていきたいところですが、そうも行かないのが現状です。

国産メーカーは使いにくい

国産メーカーの調光卓も機材も、携帯電話と同じようにガラパゴス化しています。

例えば、カッターライトの例を上げると、国産のカッターライトは丸茂のRIKURIや東京舞台照明のITOなどがありますが、ソースフォーほど普及はしていません。
理由は簡単。高いからです。ソースフォーがここまで普及したのは、やはり価格だと思います。

調光卓にしても、今までは多機能で何でもできちゃうお高い据え置き型の調光卓を備え付けるのが今までの設備でしたが、今は客席や舞台袖でも設置できる可搬型の方が利便性があります。

外部業者が入るようなイベントでは、ホール卓で操作はせず持込みの調光卓を客席に設置して操作することのほうが多くなりました。

国産品の利点

よけいな機能が多い上に、相当なお値段がするという欠点はありますが、国産品にも利点はあります。

演目の多いホールの調光卓においては、多段プリセットは必須です。臨機応変に対応しないといけないため、プリセットフェーダーなしでは対応できません。
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そして、安心感。
何か機材トラブルあれば、すぐに電話して来てもらうことができます。調光卓のトラブルが頻発していた時には、土日でもすぐに駆けつけてくれたので、助かりました。

何よりも品質。
海外製のフライダクト内部を見たら、ひどく雑な結線だったというのを見たことがありますが、国産ではまずありえません。

海外製品とうまく組み合わせて使いたい

Closeup of the front panel of lighting control console. Selective focus.

本卓は国産メーカー、スポットライト類は海外製品と国産メーカー、サブ卓は海外製というのが1番の理想です。
機材に関しては、LED機材なんかは国産よりも海外製品のほうが優れていて安価です。ハロゲンの灯体とうまく組み合わせて使いたいです。

調光卓は、ETC Smart FadeとGrand MA lightを使用したことがあるのですが、操作が非常に簡単です。いちいちENTER2回押しの必要がありません。非常にシンプルです。

ところが、そうは簡単に導入できない

壁が高いのが行政です。

予算内の備品であれば、指定管理制度を導入しているホールであれば購入することはあるかもしれません。しかし、設備費などになると場合によっては行政を通じて議会を通さないといけない面も出てきます。ついに壊れて使えなくなり、業務に支障が出る段階にならないとなかなか動かせません。
くらげが以前いたホールでも、今まで使っていた85年製の調光卓がいよいよ使えなくなったことで、上司が担当者を説得し、やっとGrand MA lightを買ってもらうことが出来ました。

また、行政も民間企業も、消耗品と備品は登録された業者からしか購入できません。
特に行政直営ホールの場合は、備品は設備を導入した業者、消耗品は地元の商会などを通じて購入がすることがほとんどです。

そのため、他のメーカーを入れる場合はその会社の資料と製品の資料を揃え、なぜその機材を購入したいのか、どうして購入する必要があるのかを事細かく書いて説明する必要があります。

実際、ETCを導入したホールでも、東芝がもともと入っていたためどうしてETCにするのかを事細かく資料を揃えて担当者に説明しました。

こうした背景により、海外製品の導入は難しいのが現状です。
正直言って、いっそのこと壊れてくれたほうが楽です。

せめて、国産メーカーがソースフォーのように海外製品を扱うとか、同等の製品を開発してくれない限り、使いづらさは続いていくと思います。
Webの仕事をしていると、海外の技術とかアプリとか簡単に手に入れられるのがすごいと感じています。

もっと、舞台照明設備もグローバル化してほしいです。

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