現場と女性の生理について。理解してほしい生理のこと。

女性の身体は、初潮から閉経まで約40年間もの間、毎月生理と付き合っていきます。
それでも話題にしにくい、どこか話題にしてはいけないという風潮もあって男性はもちろんのこと、女性同士でもなかなか理解が進みにくいのが現実です。

拘束時間が長く、思うようにトイレに行くこともできない舞台の現場において、もう少し生理というものについて女性自身が声を上げていってもいいのではないかと思い、かなり突っ込んだ生々しい実態を記事にしてみました。

生理とは


まず、生理のしくみについて。
生理とは、「約1ヶ月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」のことを言います。

生理の始まった日から次の生理が始まる前の日までの期間を月経周期といいます。
個人差もありますが、一般にその期間は25~38日ぐらいです。

この期間は大きく分けて「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「月経期」の四つに分けられています。
このうちの「月経期」がいわゆる生理のある期間で、個人差はありますが約3日〜7日くらいです。

妊娠しない限り、この周期が繰り返されます。初潮から閉経までの約40年間で、約450回も生理が来ているのです。

生理周期で見る女性の様子


排卵を前に女性らしさを引き出す卵胞ホルモンの分泌が高まり、副交感神経の働きも活発になり気分は安定します。肌のつややきれいな髪をつくり、心も体もいきいきと充実させます。卵胞が発育するにつれ卵胞ホルモンが分泌され、子宮内膜が少しずつ厚くなっていきます。
卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が増え、女性が最も調子のよい時期なのでダイエット効果も出やすい時期です。

排卵期(3週目・高温期)

脳から排卵を促すホルモンが放出され、成熟卵胞から卵子が排出されます。これを排卵といいます。排卵された卵子と精子が出会って受精すると妊娠する可能性があります。
精子を迎える準備で子宮頸管粘液も変化するため、おりものが水っぽく糸を引くようになります。

大きな不調はないものの、ホルモンバランスが急激に変動しているため、元気が出たり落ち込んだりと二面性のあるデリケートな時期です。

黄体期(4週目・高温期)

卵子が排出したあとの卵胞が黄体という組織に変化して、そこから黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるため、黄体ホルモンの影響が強く現れる時期です。体温が上昇して体内に水分を溜め込むためむくみやニキビ、シミやソバカスができやすくなります。
また血行不良によるくまやくすみが目立ちやすくなります。

月経期(1週目・低温期)

妊娠しなかったときは、黄体ホルモン・卵胞ホルモンともに分泌が減少して、いらなくなった子宮内膜がはがれ落ち、血液といっしょに体外へ排出されます。プロゲステロンとエストロゲンの分泌が急激に低下し、身体に様々な変化が生じます。体温の低下によって下腹部痛、腰痛、吐き気、下痢、頭痛、貧血、だるさ、むくみ、肌あれなど不快な症状がおきやすい時期です。
また、精神的にもイライラや不安感がつのり一番、不安定になる時期です。

生理のときに使うもの

前項で書いたとおり、生理中は子宮内膜が血液とともに排出されます。これを経血といいます。普通の血液と違ってドロっとしており、若干剥がれ落ちた子宮膜などの固形物も混じっています。
経血量は個人差がありますが、1回の経血量は20~140mlです。

生理中は絶え間なく排出される経血を受け止めるために、生理用ナプキン、タンポン、経血カップ、布ナプキンを使用します。

タイプ どういうタイプ? 長さ
軽い日用 薄くて下着にフィットするので装着感も感じにくい。 17〜17.5cm
軽い日用・羽あり 羽があるので横から経血が漏れるのを防いでくれる。
装着に若干時間がかかる。
17〜17.5cm
多い昼〜ふつうの日用 少し厚みがある。 20.5〜21cm
多い昼〜ふつうの日用・羽あり 羽があるので横から経血が漏れるのを防いでくれる。
装着に若干時間がかかる。
20.5〜21cm
多い日用 分厚い。羽ありがほとんど。多い日でも安心。 23〜27cm
多い夜用 寝るときに装着。分厚くておしりの方までしっかりカバーしてくれる。
羽つき。
29〜32cm
特に多い夜用 量が多くて安心して眠れないときに。
分厚くておしりの上の方までしっかりカバーしてくれる。羽つき。
33〜40cm
タンポン プラスチックのアプリケーターでコットン製の吸収体を膣内に収める。
使用後は紐で引き抜く。
ナプキン同様、量で種類が分かれる。
長さは全部同じ。
月経カップ シリコン製のカップを膣内に装着し経血を受け止める。タンポンと違い繰り返し利用できる。慣れるまでは扱いが難しい。 メーカーによって形状や容量が変わる。
布ナプキン フランネルなどの生地を使った洗って使えるナプキン。洗うのと取替が面倒だけど肌触りがいい。手作りも可能。 メーカーによって形状が変わる。

各種生理ナプキンやタンポンなどを使い分けながら、1回の生理で約10枚から20枚の生理用ナプキンを消費します。
それでも経血量についてピンと来ないという方は下記のブログをご参照ください。
生理の出血量の平均はどれくらい?多い人と少ない人を比べてみた|おち研

月経期間の行動

生理前

汚す可能性があるので、念の為におりものシートと月経カップを装着していつ来てもいいように準備します。
それでも、来たと思ったらまだ来ていなくて、そう少し先かなと油断すると来るのが生理です。

ホルモンバランスの関係で生理前に体調を崩す人もいます。

1日目

下着は生理用ショーツを着用。ナプキンは普通の日用〜多い日用を装着。夜寝るときは、夜用。
量が多いときは寝ているときに気づかないうちにナプキンで吸収しきれない経血が流れ出て、パジャマだけでなくベッドやベッドパッドが血の海になります。

経血の付いてしまった衣類やシーツやカバー類は、洗濯機に突っ込んで洗っても落ちません。専用の洗剤で手洗いする必要があります。

汚してしまった衣類やシーツ類を手洗いするときの虚しさと言ったらもう。

2日目

一番経血量が多く、心身ともにしんどい日です。さまざまな不調が現れるので、できれば何もせず一日寝込んでいたいと思う女性も多いことでしょう。
頭がボーッとして理解力が低下し、意識はふわふわ、身体がずっしりと重たく感じます。ナプキンも普通の日用では足りないので、分厚くてしっかり吸収してくれる多い日用を使います。

夏はとにかく蒸れるし経血でベタベタ。不快感この上ありません。
長時間座ったあとに立つとドバっと経血が排出されるので、トイレに行ったときはナプキンを交換しないと下着から溢れ出て悲惨なことになります。

それでもなかなかトイレに行けないときは、どうしようもできない不快感を感じながらトイレに行けるときをただひたすら待ちます。
お腹はズンドコ痛むので、あまりにひどいときは鎮痛剤を飲みます。それでも効かないことがあるのが生理痛です。

夜ももちろん万全の対策を打ちます。2日目の夜が一番経血量が多いので、「特に多い夜用」を装着。
人によっては下着全体が吸収体になっている、花王のロリエ「超吸収ショーツ」を履く方もいます。

3日目

3日目から経血量は減っていきますが、心身の不調は継続します。

4日目以降

4日で終わる人もいれば、だらだらと7日くらい経血が出続ける人もいます。

生理にまつわる悩み

PMS

生理前は女性ホルモンの分泌が急激に変化し、自律神経バランスが乱れやすくなります。人によっては心身のバランスが大きく崩れ、日常生活に支障が出るほどの強い症状が現れることもあります。
このような症状を、月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)といいます。

生理が始まる1週間前から症状が現れる人が多いのですが、1〜2週間前から症状が現れる人や2、3日前に集中する人など個人差があります。

PMSのおもな症状は以下の通り。

身体に起こる症状

  • 食欲増進・減退
  • 甘いものを食べたくなる
  • 体がむくんで体重が増えやすくなる
  • 体が冷える
  • 頭痛
  • 腰痛
  • 眠気
  • 肌荒れ
  • 乳房の張りや痛み
  • 下腹部痛
  • 疲れやすい
  • 眠くなる
  • おりものが増える
  • 身体がだるい
  • 肩こり
  • めまい
  • 手足の冷え
  • むくみ

心に起こる症状

  • 集中力や判断力が低下する
  • イライラしやすくなる
  • 憂うつで涙もろくなる
  • 無気力
  • 集中できない
  • 細かい作業ができない
  • 攻撃的になる
  • ボーッとする
  • 朝起きられない
  • 不眠・寝つけない
Twitterでは、#生理のホントノトコというハッシュタグで続々とツイートが上げられています。より生々しい声が聞けますので、より理解してみたい方はぜひ読んでみてください。

生理痛

(財)女性労働協会による「働く女性の健康に関する実態調査」によると、「かなりひどい(薬を服用しても会社を休むほど)」2.8%、「ひどい(薬を服用すれば仕事ができる程度)」25.8%「月経痛はあるが我慢できる程度」47.9%で、「月経痛は感じない」は21.6%で、半数近くの女性が生理痛を感じています。
痛みの感じ方にはそれぞれ個人差がありますが、よく言われるのは「バットで殴られている感じ」、「子宮内で太鼓を叩いている感じ」、「子宮内にボクサーがいて一日中殴られている感じ」「万力で子宮を絞られる感じ」など。ズドーンとした痛みが朝から晩まで絶え間なく続きます。
中にはのたうち回るほどの激痛で気を失ってしまったという方もいるくらい、激しい痛みに悩んでいる人は多くいます。

対処法としては、ロキソニンなどの鎮痛剤を飲むことですが、飲みすぎると効かなくなります。あまりにもひどい状態が続くようなら、婦人科で低容量ピルを処方してもらうと言う方法もありますが、決められた期日の間に用法容量を守って服用しないと効果がありません。

その他の症状

他にも生理期間中は人によってさまざまな症状が現れます。

  • 偏頭痛
  • 嘔吐
  • 腰痛
  • 情緒不安定
  • 下痢
  • 便秘
  • 関節痛
  • 肌荒れ
  • 貧血
  • 倦怠感
  • 大量出血
  • 食欲減退
  • 胃痛
  • 胸焼け
  • においに敏感になる

理解してほしいこと

  • 生理の悩みや症状は人によって全然違う
  • 辛い症状を抱えていて我慢しながら働いている女性は多い
  • 女性特有の病気を抱えている人もいる
生理の悩みや症状は人それぞれなので、自分ひとりだけの状態で人のことを判断することはできません。
自分の状態を周りに話して理解してもらうことの難しさをよくわかっているので、話すこともありません。

女性同士でも軽い症状しかない人が完全につらい症状を理解するのは難しいものがあります。理解されないがゆえに女性の敵は女性となってしまうこともあります。
それでも、長時間労働で過酷な現場でも女性特有の辛い悩みを身体に抱えながら我慢して仕事をしている人も数多くいるんだということを、男性だけでなく女性自身も理解してほしいのです。

生理に伴う体調不良は、体調管理だけでよくなるものではありません。ひどい症状を伴っているので婦人科で診断を受けたのに、異常じゃなかったということもあります。
反対に、忙しくて病院に行けないけど実は子宮内膜症卵巣嚢腫などの病気が潜んでいることもあります。

すべて個人差なので一概には言えることじゃありませんが、それでもそれ相当の負担が身体に掛かっているのです。

休憩は必ず挟んでほしい

シュートが始まれば、ずっと動いていて2時間近く立ったまま動き続けることになります。無理な姿勢を強いられることもあります。
明かりづくりが始まればオペレーターは調整卓の前に座りっぱなし、それ以外の人たちはステージに立ちっぱなしになります。

リハーサルが始まれば、ずっと調整卓の前やステージ、ピンルームに拘束されてしまいます。
進行状況によっては、2時間以上ずっとトイレに行けないということもしばしば起こります。

そのときにもし生理の重い人がいれば、その間ずっと装着した長時間用ナプキンがずれないか、いつまで吸水した経血を保持しくれるか、万が一漏れて椅子を汚さないかということを頭の片隅で心配しながら仕事をしていることになります。
もしかしたら、腹痛や腰痛に耐えているかもしれません。

時間が押している現場では厳しいかもしれませんが、せめて作業をしているときは2時間に1回のトイレ休憩を挟んでくれないでしょうか。
場当たりや通し稽古でピンルームや調整室にいるときは、ナプキンを交換して戻るには5分じゃ足りません。15分あれば余裕で戻れます。

ダイバーシティ、働き方改革が叫ばれている今、女性だけでなく男性にとっても心身ともに快適に働ける環境づくりを考えていく時期なのではないでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です