前回のクセノンピンスポットを操作するための取扱説明書【基本編】では、クセノンピンスポットの構造や扱い方について説明をしました。
ここでは、応用編としてピンスポットを快適に操作するためのグッズやピンスポットを操作するときのお作法についてお話しします。
ピン操作に必要なもの
クセノンピンスポットを操作するときにあるといいものは、以下のとおりです。
- 作業用手袋
操作時の手のやけど防止のために装着します。軍手は操作しにくいのでおすすめできません。 - アームカバー
灯体に密着する左腕のやけど防止のために装着します。なるべくフィットする素材のほうが本番中にずれ下がってくることがありません。 - リストバンド
手首のやけど防止に。 - マグネットクリップ
- ペン
台本や進行表に書き込むのに使います。 - テープ類
目印を付けたり固定したりなど何かと役に立ちます。そのままだとかさばるので、適当な長さを巻いておく、小さい透明ファイルに貼っておくなどして持っておくと便利です。
進行表を挟んで灯体にくっつけておくのに使います。
手元明かり
ちょうどいいところに手元明かりが当たらないこともあるので手元明かりは持っておくと便利です。電源がピンのところまで届かないところもあるので、USBライトはいいですね。
・折り畳み譜面台
・モバイルバッテリーとか
USB出力電池ボックスと
・USBのLED手元灯(グースネック)
*ノートPCのキーボード照らす様な
・サイクリング用指切りグローブ(左手)
・サイクリング用アームカバー(片腕分)
・超小さく畳めるエコバッグ(バラシで幕前の色の回収用)— エレノア (@eleanor_ism) 2019年1月20日
USBの手元灯。電池ボックスと併用してピンCueシートなんか見たりするのに使ったりしてます。 pic.twitter.com/62Lgqz2NHV
— エレノア (@eleanor_ism) 2019年1月21日
USB出力付き電池ボックス pic.twitter.com/lGtMr4XEUf
— エレノア (@eleanor_ism) 2019年1月21日
こちらは小さな手元明かりをマグネットクリップで挟んでいます。
ワタシもマグネット付きクリップ愛用です。しかも、老眼にウシロ焚き(色使わぬ時)なので、マグネットで自分専用の手元灯りをピンに装着(苦笑) pic.twitter.com/kD0JQBfKi7
— suneneko (@yanaka_suneneko) 2019年1月20日
セリアで調光付きのLEDライトをがあるという情報をいただきました。
そういえば!
【ピンのお作法】的な話題の時に【USB電池ボックスやモバイルバッテリーに直挿しLED手元灯】を挙げさせて頂きましたが…セリアで先日【USB直挿し[調光可能]LED手元灯】を見付けたので報告致します☆
自重の為、電池ボックスは倒れるけどモバイルバッテリーなら使えます!— エレノア (@eleanor_ism) November 6, 2019
さっそく購入されました。
成程!
白と黒があるのね
新宿マルイSeria
在庫まだあります pic.twitter.com/WQVcZPnXoE— 聖☆よねさん@日本のあちこちの片隅に (@nyoneno) November 6, 2019
検証結果。
科学的検証を
暗点灯時 0.02A(限りなく0.01Aに近い値)
最大時 0.1A pic.twitter.com/THbHpKSOYg— 聖☆よねさん@日本のあちこちの片隅に (@nyoneno) November 6, 2019
実際に使っている写真。
写真。。。 pic.twitter.com/adJby5nM7X
— suneneko (@yanaka_suneneko) November 8, 2019
おすすめのグローブ
前出のツイートにあったグローブとアームカバーがなぜサイクリング用かについて教えていただきました。掌の部分が厚くなっていることと汗を吸う仕様というのがピン操作にもってこいですね。
サイクリング用指切りグローブは手のヒラ、掌の所が熱くなってるのでヤケド防止に。指切りのおかげでレバー操作は問題なし。オマケで手の甲の親指側が汗を吸う様な素材で、とても便利です。
アームカバーは制汗、ヤケド防止に役立ち、伸縮性あって小さくなるのでバッグに入れても場所取りません。— エレノア (@eleanor_ism) 2019年1月20日
こちらがサイクリング用のグローブ。
手の甲側に汗拭き生地。と、アームカバー装着状態 pic.twitter.com/RkVJRFVmO8
— エレノア (@eleanor_ism) 2019年1月21日
こちらは薄手の合皮グローブです。操作のじゃまにならないというのがいいですね。
仕込みの時も全然フツーに使えるんだが、ビニテとかでガンガン剥げるので、仕込みの時はふつーの皮手袋のがいいかもしんない。
— 風音🐾 (@ka_za_mya) 2019年1月21日
その他
2穴バインダーはQシートが何枚もあるときに使用します。実際に使っているのを見たことがありますが、めくりやすくて便利そうでした。2穴パンチも持っておくとよさそうですね。
その2
この金具を筒にガムテどめして
Qシートに穴を開けて綴じる
簡単にめくれます pic.twitter.com/3WGEvd77BH— 聖☆よねさん@日本のあちこちの片隅に (@nyoneno) 2019年1月21日
箱馬の代わりにこういうギターの足台を自分で用意しておくのもいいですね。
そういや、シビアなhttps://t.co/QODQAKmA20多い時は、これ持ち歩いてましたね
やや前重にしておいて膝の上に筒先乗せて首の微動させてました
箱馬代わりですね pic.twitter.com/KGgwZe3K6S— 聖☆よねさん@日本のあちこちの片隅に (@nyoneno) 2019年1月21日
寝床にパンチはいいですね。確かに休憩するときに寝たいときがあります。磁石クリップは何個あっても役立ちます。パーカーは空調が寒いときに羽織ることもあります。
パンチ→寝床。
長袖パーカー(コンパクトに畳める黒いやつ、もしくはネイビー)→火傷対策。あと隙間で小休止の上掛けになる。
綿のアームカバーは工具箱にあるといいかも。
磁石つきクリップ→曲順貼っとくのに便利。二個あるとベロベロしない。— 風音🐾 (@ka_za_mya) 2019年1月21日
それと前出のツイートにもありましたが、折りたたみ譜面台があると便利です。ホールや劇場によってはQシートなどの資料おきに譜面台が置いてあるところもありますが、数多くはないので折りたたみ譜面台があると助かります。
照準は何を使う?
ピンスポットを操作するためには照準というものが必要です。これは目標物に狙いを定めて一発で当てるためもので、銃などにも使われています。
照準はピンスポット自体には装備されていないため、自身で照準を作って装着する必要があります。比較的多く使われているのは、針金やバインド線を使ったものとサバゲーのモデルガンに使われているドットサイトです。
針金・バインド線
バインド線は安価で作れるのが最大のメリットです。2本のバインド線を用意して先端をよじって輪っかにして、2本を少し離した状態で灯体の横に設置します。この2つの輪っかを覗き込むと目標物に対して焦点が合います。
このようにマグネットクリップに挟んでおくと装着が楽にできて調整も簡単です。途中で剥がれる心配もありません。
ということでこっちも持っていきます pic.twitter.com/HbsOTWy5qQ
— 電気マグロ (@denkituna) 2019年1月11日
ピンの針金照準器は、2個1組で使います。目線で1個目の穴を通しながら2個目の穴を通して舞台を見ます。
数学的に、2点を通る直線はひとつに決まるからです。— 照明機材の盛り合わせ (@lightingkizai) 2018年3月26日
調整しやすいのがバインド照準の利点です。
バインド照準器はとにかく調節がしやすいので、そこが売りだな。効き目とか顔の作りの関係で灯体と照準器の距離感は人それぞれちょうどいいところがあるみたい。
— 電気マグロ (@denkituna) 2019年1月12日
ガムテで付けている方もいらっしゃいますが、ずれないようにがっちりと貼って固定する必要があります。その分、剥がすときに灯体の塗装が剥がれてしまうのでマグネットクリップをおすすめします。
養生など弱いテープで針金を固定して放置してると剥がれちゃうからガムテがおすすめ
ピン当てたときの照準の合わせ方も載せる pic.twitter.com/R8nmY5GGTI— なっつ🐟 (@DropCandy24) 2019年1月12日
2本針金照準の利点は、
使う人が右目で見るか左目で見るかを決めて調整すれば、
ピンスポ本体〜顔の距離がブレる事無く狙えるからです。
誰に教わってこの方式を使ってるんだろ❓
忘れた(^^;;— こ_げ_ぱ_ん_@ (@a_agepan) 2018年3月26日
バインド線の先端に圧着端子を付ける方法もあります。圧着端子の穴から覗きます。
写真はありませんが、以前クルクルよったバインドの先端に圧着端子を付けて使っていました。
— エレノア (@eleanor_ism) 2019年1月11日
圧着端子いいですね
自分はバインド線を丸くしたものを使ってます
ただ、改善の余地がありそうです pic.twitter.com/nScgltja5O— まつもん@ (@matsumon_engeki) 2019年1月11日
ドットサイト
ドットサイトはバインド線や針金に比べると材料費がかかります。単体では装着できないので加工が必要ですが、材料の多くはアマゾンやホームセンターで手に入ります。合計で5,000円程です。
ドットサイトは両目で見ることができるので、灯体から顔を離した状態で狙えるので、舞台全体を見ながら狙うことが可能です。また、時間のないときに調整の手間がかからないというのも利点です。
ピンスポ照準器完成?
ネジ30mmだと短いかな?使ってみないとわからないか pic.twitter.com/jFcItE7cnD— 電気マグロ (@denkituna) 2019年1月10日
ほぼほぼ同じです pic.twitter.com/tlRisDShTu
— えさ (@hiro_esaki) 2017年9月1日
白ガムテ
白ガムテは毎回ピンチェックのときに作ります。大まかに分けてこんな感じが多いです。
こちらは昔白ガムテを使っていたとのことです。
時間が経って古ネタになりつつ…だけど、本日初仕事でセンターだったのでパチリとな。昔のネライと今のネライ、こんな感じです。
メガネ使うので、ドットサイトにゲタ履かせてます。
強力磁石でバチっと固定。 pic.twitter.com/YYvl3K0x47— suneneko (@yanaka_suneneko) 2019年1月14日
指
親指でやるというツワモノもいます。
照準は使わずに、指でする派です!
銀色のラインの先っちょに、右手親指第一関節辺りからつけてやってます!
披露宴、キャパ1200位までならこれでもぜんぜん行けます!←それくらいしかピンやってない、、、— DSだぞぉ、レーザーこの前使ったよ (@L_create_Arts_) 2019年1月11日
どれがおすすめ?
針金やバインド線は灯体に顔を近づけて片目で狙うので体勢に無理がかかるということと、狙っていた場所とは違う場所から登場したときにとっさに狙えないため、長時間に渡るオペレートや動きが読めない催事には不向きです。
あと、目の状態によっては誰にでも合うわけではないということもあります。
ピンの照準、自分は右と左の視力が若干違うのと利き目の左ばかりで見ているので右目で見るとずれるし、乱視なのでバインド線や針金照準だとうまく焦点が合わない。ドットサイトに変えたらかなり楽になりました。理論上では焦点が合う作りでも、使う人の目の状況によって変わるかもしれないです。
— そらいろくらげ (@yukie_suzuki725) 2019年1月11日
それと、ホールの大きさによっても変わってきます。
SNSで画像を使わないと決めているのでコトバで表現しますが、ピンスポの灯体から5センチ以上離れてる照準は、300人くらいのホールまでしか距離的に通用しないかなぁという感覚です。 https://t.co/koBAwwSIwD
— 小奈比 秋季 (@aerialhall24) 2019年1月11日
そして暗転では見えません。
今流行り?の奴は、自分は使った事ないから、実際どうなんかわからんのですが……自身の経験上、ど暗転だと そもそも照準のバインド(針金)そのものが見えないんですね。で、対象も当然見えない。そんな中で、身体で覚えた訳です。
— akariya (@akariya_com) 2019年1月12日
もちろんドットサイトにも欠点はあります。
ドットサイト照準器のメリット
・初めてでもちゃんと当たる
・両目で見ても一応点は見える (焦点合わないので片目の方が見やすいのは見やすい)
デメリット
・高い
・灯体からスコープの距離が近いとめっちゃ覗き込む姿勢になる
・距離が近いなと思っても調節しづらい— 電気マグロ (@denkituna) 2019年1月12日
そして最大の欠点はなんと言ってもこちら。
ドットサイトは使ったことがないんですが、純正のピンスポ照準はえねちけHRで使ってました。
あれ、致命的な弱点があって、床がLEDだと、照準見失うんですよな……— 風音🐾 (@ka_za_mya) 2019年1月13日
ドットサイトのポイントは赤と緑ですが、赤にしていたときはLED PARで赤系の明かりだったときに見失ってしまって焦りました。緑だと比較的大丈夫です。
ドットサイト、針金、バインド線などいろいろな方法がありますが、利点と欠点があって催事によっても変わります。忘れてはならないことは、ピンの操作の大前提として確実に目標物に当てることです。照準は確実に狙うための手段なので、まずはいろんな方法を知って試してみてはいかがでしょうか。
ピンスポットのお作法
ピンスポットライトはただ当てればいいというわけではなく、当て方にも作法があります。
基本の当て方
まずは当てたときの基本。
ピンスポをホリに出しすぎない、額から出す、てのは宝塚などがわかりやすいかも。
額狙って出したときに頭上にピンのエッジを出したら(黄色の線)そのラインをキープしたまま首下げつつアイリスを開く(サイズを大きくする)。
で、足までいれる(水色↓)
スタンプがケコミとしてそこには出(落と)さない。 pic.twitter.com/EwaCc0vBUT— 風音🐾 (@ka_za_mya) 2019年1月13日
ピンスポットお作法
・アイリスイン(企業によってはフェードイン)は額から。
・頭の上の円弧は額上をキープしたまま下へ広げる。
・蹴込(けこみ)落ちはNG
・ダウザーイン(企業によってはマスクイン)全身サイズは腹を狙う。ので、事前に1人の大きさと上半身というか円のサイズを確認。→— 風音🐾 (@ka_za_mya) 2019年1月13日
んーと、先述のピンスポットお作法は大分省略してるんだけど、とりあえず、芝居とミュージカルと、コンサートと式典の共通最低限作法です。
全国ツアーぐらい対応かなあ。— 風音🐾 (@ka_za_mya) 2019年1月13日
複数ピンで追うとき
困るのが一人を2ピン以上で追うとき。自分では追えているつもりでいても動いたらそこに自分のピンが取り残されているということがあります。
複数ピンで同じキャストを狙った時すぐ自分のを見失うんですけどみなさんどうしてるんだろう…もう自分はずっと照準覗いてるんですがしんどい。
— ハードコア舞台照明 (@hiroe_lt) 2018年12月11日
どこ狙って出したか覚えて、そこからは狙ったところを中心点と考えて、追うときはそこを。
ので、ダウザーinする事が多かったり、複数ピンを重ねるなら、リハーサルの段階で、全身・上半・複数のアイリスの大きさ調整して合わせたバミリを取っておく、というかんじ……。まあ照準外さないのが無難かも— 風音🐾 (@ka_za_mya) 2019年1月13日
この方法で、バレエのようにぼかして光量を絞った状態でのフォローや新舞踊などで金屏風の前でフォローするときなど追っているときの照射円が見えにくいときに円の中心を追うと見失いません。
色の入れ方
色を使うときはカラーチェンジャー固定枠を使用します。ただし、普通のスポットライトのようにシート枠を入れてしまうと入れ替えにくいので、バインド線をよったもので固定します。このバインド線はホールや劇場のピンスポットには付いているところが多いのですが、なければ自分で装着します。
また、10インチのピンで8インチシートを使うときは黒ガムテで照射面を覆います。若干光量が落ちますがほぼ影響は出ません。
ピンの色替え
ピンの操作で難しいのが、専用の薄いシートに入れたカラーフィルター(ゼラ)を何枚も手に持ってキッカケで色替えする操作です。
ピンの色をね、指に挟んで3枚とか4枚とかシャッシャッて入れ換えるんだってんだけど
どゆこと...?— ▶︎ (@1019kaz_mito) 2019年1月10日
こう、曲順に色が決まってるので打ち合わせのときになんの色を使うのかっていう打ち合わせしておいて、aメロbメロcとかサビにどの色が来るのかというのと次の曲の色のスタンバイをピン炊きながらとか、もしくは自分が消した瞬間にスタンバイするかんじ。
— 風音🐾 (@ka_za_mya) 2019年1月14日
参考映像をみるとわかりやすいです。
https://t.co/fdgz9Sgf76
これとかたぶんわかりやすい。
生がメインだけど何小節かの、色のカットチェンジと単独色抜きでのフォローと戻り色いれも見れるのでそれが、ピンフォローしながらサイズ調整しながらスタンバイやれるか、っていうかんじ。かな。— 風音🐾 (@ka_za_mya) 2019年1月14日
2:30あたりからがわかりやすい?かも?
16拍かな?濃いピンクでとって、
what do you won'tだけ色抜いて、
is it necessaryで4拍色いれたら、たぶん、薄いパープル?入ってるかな?で、世界中口説けるの?で、生で取ってるかな?— 風音🐾 (@ka_za_mya) 2019年1月14日
ピンスポットは割合イメトレも大事で予測と推測と緊急即時対応できるようにしとかんといかんので、こう、なにかしら映像見て、操作におよそかかる手数、スタンバイ、その操作をしたあと次の動作に戻りがやれるかという根回しができるか、練習して、体が動くことが出来るようにしておくのがいいかもー。
— 風音🐾 (@ka_za_mya) 2019年1月14日
まもなくフェードアウトから2拍戻り色入れカットインです。
スタンバイ
フェードアウトどうぞー(曲などの間に合わせてダウザーアウト)、
スタン、バイ、go!で、
狙い変えて、あたりとって、色入れ、ケコミ落ちしない、手を切らない足を切らない当たり外さない、が下手でとってて上手にいけるか、と。— 風音🐾 (@ka_za_mya) 2019年1月14日
全部の動作がスタン、バイの2拍でやれるか、というかんじ。
— 風音🐾 (@ka_za_mya) 2019年1月14日
締めくくり
いくら照準や便利なグッズやピンのお作法を知ったからといって、すぐにきれいなピンフォロー操作ができるわけではありませんが、知っておくことでできることの幅は広がります。
何よりも、快適に操作をするための照準やグッズは知っていて損はありません。道具から入るというのも一つの手です。
そして、他の人とピンを振る機会があるのなら恥ずかしがらずにいろいろ聞いてみてください。人から教わる、人の技を盗むというのも上達するコツです。
それでは、よいピンフォローを。