今日は、松村電機製作所の川越工場へ見学に行きます。
案内役は松村電機製作所の営業さん2名、そして見学者はくらげと会社の後輩です。
今回工場見学に至ったキッカケは、くらげがアークピンを見てみたいと思ったことです。アークピンを操作したことのある方から操作していたときの話を聞いていたので、いつか触ってみたいと思っていのですが、クセノンピンに変わった今となってはアークを見る機会は全くありません。
ところが、ネットで検索したところ何と松村電機の川越工場にある資料館に置いてあることが判明。 さっそく、先月の保守点検の時に営業さんへ聞いたところ、快く案内を引き受けてくれました。そして、今日に至ったわけです。
駅からタクシーに乗り込み、20分ほどで工場に到着。さっそく資料館の見学に向かいます。
ついに、アークピンとご対面
まずは、念願であったこちら。アークピンです。
内部のプラスとマイナスの電極に、アーク棒が刺さっていて、これを接触させると発火し、点灯します。このアーク棒の接触を、後ろのハンドルで調整しながら炊くことで、長時間炊くことができるのです。
しかし、この調整がかなり難しいのです。燃えている2本のアーク棒を常に一番明るい状態で燃やしながらフォローすると言うのは、左手でシフトレバーを操作し、左足でクラッチを踏むマニュアル車を運転するようなものです。慣れれば身体で覚えますが、いきなりやれと言われたら、まずできないです。
そして、アークピンにはショートアークというものもあります。短い分、燃え尽きるのも早いのですが、灯体がコンパクトなため、フロントサイドで使うのにいいみたいです。
これが、アーク棒です。
続いて、歴代の照明器具
続いて、歴代の照明器具を見ていきます。
こちらは、カンテラです。照明器具の原点とも言えます。
こちらは、アセチレンガスを燃やして明かりを取るアセチレンランプです。昔は、屋台などでも多く使われていたそうです。
これらは、調光器です。スライダックとも言います。
こちらは、昔使われていたサイリスタ調光器。今の調光器の原点です。
こんなクセノンランプもありました。灯体に接続されているのは、山口の博物館にあるそうです。古めかしい照明機材です。懐かしさを感じます。
そして、こちらはオートトランスの調光器です。これにも会いたかったんですよ。右側のハンドルを回して操作します。上は、ワイヤーが繋がれていて、反対側に電極があり、これを上下させることで調光します。
こちらは、旧型のHMIピン。大きくて重くて、手動のカラーチェンジャーが付いている懐かしい形です。くらげの高校生の頃に見たことがあります。
松村の新商品に触れる
照明機材の歴史を体験したあとは、松村電機の新製品に触れます。
こちらは、メタルハライドランプ600Wのピンです。点灯してすぐに、安定した明るい光が出ます。600Wなのに、1kWくらいの明るさです。スタンドにはベアリングが噛ませてあって、左右に振るときにスムーズに動きます。
ホールでライティングショーを見る
続いて、隣接するメッセージホールに向かいます。このホールでは、曲に合わせて様々なライティングショーが見られるそうです。
さっそく、アナウンスとともに客電が落ち、ショーが始まりました。まずは能面が現れ、曲とともに明かりが変化していきます。能の音楽が流れているので、和物の雰囲気です。
そして次に、宇宙空間がテーマのショーです。チェイスを多用した激しい明かりとともに、舞台中央の床面が上がって行き、鏡面張りの裏側が現れました。激しいライティングのあとは、静かになって地球が現れ、終了。
お次は、コンサートがテーマのショーです。 上からセットの柵が降りてきて、曲とともにコンサート明かりが次々に変化していきます。どちらかというと、ミュージカル系の雰囲気です。途中からは、上手と下手の上部に木の枝が出現し、やがて明かりは夕方から夜の明かりへと変化していきました。
こうして、ライティングショーは終了。
このあとは、実際にどんな仕込みがされているか、舞台を見ます。このプランニングと仕込みは、大手照明会社の共立さんが行なったそうです。
狭い舞台の袖にはタワーがあり、ぎっしりと機材が吊られています。客席側上部にも、ミラーボールやミラースキャン、精密先玉を入れたスライドキャリアがぎっしりと吊られています。
ホリの手前は深くなっていて、ここにもローホリやACなどがところせましと並んでいます。ここの維持をするのもかなり大変なようで、メンテナンスにも手間が掛かるという苦労話も聞くことができました。
F153の使い方を聞く
ホールを出たところには、今松村で出している調光卓がすべて展示されている場所があります。最後に、ここでくらげホールで使っているF153の裏ワザ的使い方を技術の方に教えてもらうことになりました。
取説には書いていないけど、こういうときにこんなやり方ができるというのは、やはり開発の方に教えてもらうのが一番です。そして、いろんな便利な使い方を教えてもらいましたが、実際はこの卓を使い慣れているくらげより、入り込みの方々が明かり作りをしているときに便利な機能が満載なのです。
でも、くらげがべったりくっついているわけにはいかないし、かと言って、オペレーターに説明してすぐに分かるかと言えば、すぐには覚えられないところもあります。そこが難しいところです。
締めくくり
松村電機製作所の川越工場は昔懐かしい機材が揃っていて、マニアには垂涎の場所ではないでしょうか。照明機材の歴史を知る場所としても最適です。
興味のある方は松村電機製作所にお問い合わせしてみてください。
この4ヶ月後、再び川越工場に行ってきました。そのときのレポートもご覧ください。
4ヶ月後のお話:再び松村電機製作所の川越工場を見学